2004年10月〜12月に放送されたドラマ『大奥 第一章』。
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ドラマ『大奥 第一章』はどんな作品?
話数 | 全11話 |
放送年 | 2004年10月期 |
放送枠 | フジテレビ系 木曜22時(木曜劇場) |
脚本 | 浅野妙子 |
演出 | 林徹 山下智彦 武内英樹 長岡鉦司 |
音楽 | 石田勝範 |
主題歌 | サザンオールスターズ「愛と欲望の日々」 |
キャスト | 松下由樹 高島礼子 瀬戸朝香 西島秀俊 星野真里 木村多江 京野ことみ 野波麻帆 渡辺いっけい 梶芽衣子 藤田まこと |
主人公
名前(演) | おふく(春日局)(松下由樹) |
職業など | 大奥総取締 |
あらすじ
2003年6月から9月にかけて放送され、世代を超えた女性たちから絶大な支持を得て、一大ブームを巻き起こしたスーパー時代劇『大奥』。今までの時代劇の既成概念を打ち破り、新感覚エンタテイメントとして企画されたこのドラマは、20時台という早い時間帯でありながらも、時代劇というジャンルの壁を越えた本格人間ドラマとして、時代劇を見たことのない若い層(F1、F2)の女性からも高視聴率を獲得しました。
その『大奥』が、この秋フジテレビドラマ枠の中では、最も大人の女性に支持されてきた「木曜劇場」(木曜よる10時)に満を持して登場します。「木10」枠は、最近では、より見ごたえのある骨太なドラマを欲している視聴者傾向に伴い、『Dr.コトー診療所』『白い巨塔』『人間の証明』といった本格ドラマ大作の枠というイメージが強くなってきました。
今回は、「大奥」史上最も有名で、かつ最強の女帝“春日局”を中心に、戦国時代という激動のときを生き抜き、「大奥」という新しい秩序の中で、熾烈な生存競争を繰り広げた女たちの本格人間ドラマをお送りします。
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『大奥 第一章』の各話あらすじ
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第1話 負け犬からの脱却
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あらすじ
寛永16年(1639)、徳川幕府開府より40年。時は将軍家光(西島秀俊)の天下であった。江戸城大奥では、正室孝子(木村多江)が待つが、その後ろには、さらに威光に包まれた春日局(松下由樹)が控えていた。「男子禁制」を始めとする大奥法度を定め、1000人とも言われる大奥の女たちを統括する最高権力者である。
そんな中、若い女中のお玉(星野真里)は、お中臈の朝比奈(梶芽衣子)に春日局の生い立ちを尋ねた。朝比奈は静かに諭すようにお玉に語った。「あのお方の権勢のまばゆさの裏には、並ならぬ不幸と苦難があるのじゃ……」。
そこから約35年前、美濃は稲葉正成(神保悟志)の家。正成は、関ヶ原の戦いで知将として知られる武士であったが、不遇を得て荒れた生活を送っていた。その妻がおふく、後の春日局である。夫婦には千熊、七之丞、まだ乳飲み子である常磐丸の三人の男児がいた。だが、正成は村の女を妾として家に連れ込んだり、客人を連れ帰ったりと、おふくを困らせる。おふくが辛抱強かったのは、父・斎藤利三が本能寺の変で織田信長を討った明智光秀の重臣であったことで、逆賊の娘と烙印を押され、石持て追われる生活を体験した辛い過去の記憶があるせいであった。
ある晩も、正成が武将を連れて帰って来て、妾を呼びこみ派手に騒いでいた。だが、夜が更けると武将たちは夜盗に変身。家人を縛り上げ金品を要求する。子供部屋に押し入ろうとした武将の前に立ちはだかったおふくのことを武将が犯そうとする。その時、おふくは魔物に取りつかれたように無我夢中で自分を襲う夜盗を刺してしまうのだった。
正成は、「自分の評判に関わる」とおふくに離縁を申し付ける。おふくは唇を噛みしめ一言の言い訳もなく、荷物をまとめ三人の幼い子供たちを置いて家を出た。子供たちが追いかけてくるが、おふくは強い言葉で二人を追い返す。涙をこらえながら歯を食いしばって歩いていくおふく。それから苦難の旅路が始まるのだった。
おふくは、母と逃亡生活を送っていた幼少の頃、匿ってくれた公家の京都・三条西家に一旦は身を寄せるがその待遇は冷たいものであった。おふくは、決して負け犬のまま終わらないと、置いてきた我が子たちに誓う。
まさにこの頃、江戸城では、二代将軍秀忠(渡辺いっけい)の正室・お江与(高島礼子)が懐妊していた。秀忠との間にはすでに三人の娘がいたが、世継ぎの男児誕生を待ち望んでいた。
街道筋で、「将軍家の乳母求む」という高札を見つけたおふくは、藁にも縋る思いで京都所司代と将軍側室・阿茶局の面接を受ける。阿茶局は、おふくを一目見て、前半生の苦労と仕事にかける意気込みを見て取った。「人は捨てたものが大きいほど生きる力は大きくなる。離縁は人選に関係ない」という阿茶局の言葉に、おふくは心打たれる。
見事乳母に内定したおふくは、阿茶局に連れられて家康(藤田まこと)に目通しされることになった。家康は、お江与とおふくの「仇関係」などは戦乱の世の習いと切り捨て激励する。
その後、江戸城大奥へ参上したおふくは秀忠と臨月のお江与と面会する。お江与はこれまで産んだ三人の娘は、政治的な理由で生まれてすぐさま養女に出され、自分で育てることができなかったことを悲しんでおり、乳母の存在が気に入らない。冷たく権高におふくを見据える。
そして、いよいよお江与の出産の時がやって来る。無料動画
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第2話 捨てられた若君〜愛に飢えた者たちの悲壮な決意
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あらすじ
竹千代が歩みを始め、おふくは喜んだ。そこへ、お江与が現れた。おふくはあわてて駆け寄り、それを報告するが、お江与は「世継ぎは竹千代とは限らぬ」と言い放つ。にこりと笑みを浮かべたお江与は「わらわは身ごもったのじゃ」と勝ち誇ったように続けた。おふくは、「おめでとう御座います」と取り繕うが動揺は隠せなかった。その晩、おふくは、お江与の流産を祈祷するのだった。
だが、生まれたのは男児・国松。将軍家跡取り問題がくっきりと浮かび上がった。その数年後、慶長14年。6歳になった竹千代は、教師役の青山に論語などを習っている。3日後には秀忠、お江与とまみえるため勉学に励むのである。だが、当日、気の小さな竹千代は挨拶すらうまくいかない。弟の国松は「兄上はお口がきけぬのですか」と幼児の残酷さでお江与に同意を求める。お江与は我が意を得たりとばかりに、聞こえよがしに「父上も三男ながら頭も器量も優れていたゆえに将軍におなりじゃ」とおふくに対する牽制と当てつけを言う。竹千代とおふくは下を向くしかなかった。
竹千代の誕生日に各所から進物が届いた。中にお江与からの絵筆がある。竹千代は喜びつつも、母が祝いに来てくれぬ寂しさを噛み締める。だが、お江与は国松と遊んでいた。池の鯉を見て、それを好きだと言っている母の言葉を聞きとめた竹千代は、母が落として行った袱紗を身近に置いて、貰った絵筆で鯉の絵を描くことに熱中する。それは、子供とは思えぬ達者な出来栄えであり、青山もおふくも感心する。
ある日、鯉の絵を描き続ける竹千代の部屋の庭先に女中に連れられた国松がやって来た。丁度、風で竹千代の絵が舞い、国松のそばへ飛ばされた。国松は子供の対抗心から「絵が描きたい」と駄々をこね始める。「絵筆はここにある」と言い、竹千代の座敷に上がり込み筆を奪おうとする。竹千代も応戦してもみ合いになり、絵を汚された竹千代は怒って、庭まで国松を突き飛ばした。騒ぎを聞きつけおふくとお江与が現れた。お江与は「竹千代の監督はそなたの役目であろう。竹千代を国松に近づけるな」とおふくをなじる。去りがけに鯉の絵を踏みつけて行く母を、竹千代は悲しい気持ちで見つめるのだった。
お江与の露骨な「世継ぎは国松」という情報戦が始まった。そう吹聴し既成事実を作り上げる気なのだ。そうと知ったおふくは秀忠の真意を探る。だが、秀忠は「時が来たら決まる」と茫洋としたものである。一方、お江与も秀忠に「世継ぎは国松がいい」と進言したうえで、「ふくは嫌いじゃ。お父上が差し向けられた者でなければ、とうに城の外にたたき出していた。あれは鬼の目をしている」と口汚く罵るのであった。これに気押された秀忠はおふくを呼び「世継ぎのことは言うな。江与の不興を買うな」と態度を硬化させる。ただ、おふくは直後に届いた家康の心遣いの「褒美」に意を強くするのであった。
そんなある日、おふくの息子・正勝がおふくに挨拶に来た。正勝は久し振りの母との対面に心躍らせていたが、おふくはピシャリと「母は死んだのだ。私は若君の乳母、そなたはお側役。お勤めに励むように」と正勝を制するのだった。
そんなおふくがお江与には不愉快でたまらない。女中たちを使い、おふくの過去の情報を集め始めた。そしてお江与は願ってもない情報とおふくを追い落とすチャンスを得た。
城内の庭園で大きな宴が開かれた。国松をそばにおいて、お江与は朝比奈(梶芽衣子)らと上段から女中たちの遊びを見ている。そしておふくに一緒に遊ぶように指示した。おふくはうまい踊りを見せ、それを待っていたように、お江与は「褒美を取らす」とおふくをそばに呼び寄せた。そして「教えてたもれ。その力で夜盗と妾を殺めた気持ちは」と衝撃の過去を満座の席で暴くお江与。「美濃では稲葉様の奥方は短刀で妾を成敗された悋気の鬼と評判だったらしいな」と追い打ちをかける。おふくは「身を守るため夜盗は刺しました」と言うや「褒美は頂きます」と顔色を変えずその場を去っていくのだった。
事実はどうあれ城内は「妾殺し」の噂で持ち切りとなり、次の日からおふくの周りに人が寄り付かなくなった。心配する竹千代におふくは「この次に鬼になる時は、若君のためで御座います。おふくはいつか若君を天下の頂点のお立場にして差し上げます」と言い切るのだった。
一向にめげた気配のないおふくに苛立つお江与は、再び秀忠におふくを辞めさせ、世継ぎを国松に決めるように迫る。ただ相変わらず秀忠は頼りない。お江与は業を煮やし、竹千代が自発的に将軍職を辞退するよう本人の洗脳に乗り出す。
竹千代が絵を描いているところにお江与がやって来た。お江与は「絵がうまい」と振っておいて「意地を張らず跡継ぎを弟に決めてくれ」と懇願をする。だが、「竹千代を頂点にして、自分は鬼になる」と言うおふくに母以上のものを感じる竹千代は、お江与に「できませぬ」と盾を突く。お江与は泣きわめき「いっそ産まなければよかった」と軽率な発言をする。竹千代の心の傷は広がるばかりであった。
そして、一人になった竹千代は泣きながら切腹の真似を始めた。それを間一髪のところで制したおふくは竹千代の頬を張った後「死んでは負け。大きくなって母上を見返しなさいませ」と活を入れる。「寂しければふくを母と思うて泣きなされ」と抱きしめるのだった。
部屋に戻ったおふくは、さらし首になった父の幻影を見る。それに力を得たか、おふくは、家康の住む駿府城を目指し、死をも覚悟した旅に出る。無料動画
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第3話 命がけの密事
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あらすじ
将軍家長男・竹千代(須賀健太)を我が子のように愛するおふく(松下由樹)は、場内で囁かれる“世継ぎは二男・国松(長島弘宜)”という噂に矢も盾も堪らず、家康(藤田まこと)に直訴あるのみと駿府城へ向かう。その矢先、おふくの長男で竹千代の世話係の正勝(上條誠)が護衛をすると現れる。しかし、おふくは正勝を制し、一人旅路を急ぐ。
駿府城では、女中の阿茶局(宇都宮雅代)と家康が迎えた。おふくの様子にただならぬものを感じた家康は、言葉を促す。おふくはお江与(高島礼子)が、国松が世継ぎと公言しているため場内が騒然としていると直言。家康に叱られるが、おふくは怯まずに続ける。家康は怒り心頭に発したように立ち上がりその場を去る。おふくは、家康が納得したものかどうか量りかねたまま江戸に戻ることになった。
おふくが帰り着くと、家康への直訴などつゆ知らぬお江与が、伊勢に竹千代の武運を祈祷に行ったのだろうと皮肉を言う。その時、御殿女中が叫んだ。「大御所様のお成り!!」。なんと家康がやって来た。
大広間に家康をねぎらうため集まる秀忠(渡辺いっけい)以下、竹千代、国松、お江与ら将軍家、家臣一族。末席にはおふくが控える。家康は秀忠に跡継ぎ問題などあってはならないと言い、竹千代を膝に乗せ饅頭を食べさせ始めた。お江与は負けてならじと、国松を家康のもとへ近づける。だが、家康は国松の来るところではないと言い放ち、饅頭を座敷に投げて寄越した。そして、臣下は主君を敬い、弟は兄を敬う。それが世の理で、理をないがしろにすることを謀反というと家康。おふくは勝利を確信した。
掌を返したようにおふくの周辺は賑やかに。お付き女中も増えた。新しい女中の中におしず(雛形あきこ)という美しく、良く気の付く未亡人がいた。おふくはおしずが気に入っていた。そんな明るい光に満ちた御膳所のおふくに、係りの女中が稲葉正成(神保悟志)の来訪を告げる。
おふくの前夫・正成はこの時、美濃十七城の城主になっていた。正成はおふくが離縁した時乳飲み子であった三男・正利(小阪風真)を連れていた。正成は正利を国松に仕えさせたいとおふくに頼む。“竹千代様ではなく?”と、おふくは怪訝。正成は続けた。すると正成は、稲葉家を残すためには置石は多いほどいいと答える。戦乱期の策士、正成らしく、すでに根回しを済ませており、おふくには如何ともしがたかった。おふくは正利を連れ、お江与の部屋を訪ねた。お江与が断ればいいのだが、と淡い期待を抱くおふくに、お江与は「面白いではないか」といたぶるような表情で微笑む。おふくは、嫌な予感が浮かんだ。
そんな夜、駿府城から早馬が到着した。疲れきった武士が「大御所様がご危篤」と叫ぶ。元和二年、家康が没した。悲しみに包まれる江戸城。悲嘆にくれる秀忠のそばにお江与が近づく。そして、家康は寿命。これからは何でも秀忠自身が決められると言い出す。さらにお江与は、まずは、おふくを解任し、国松を世継ぎにしろと続けた。
このお江与の発言は信憑性を持った噂として城内を駆け巡った。おふく付きの女中まで茶飲み話で面白がる。おふくは自分のことはともあれ、竹千代廃嫡などと口にする者は厳しく叱り付けるのであった。
秀忠は、後になって、お江与への怒りが込み上げてくる。鯉の餌を力任せに池に撒いた瞬間、秀忠は腰をひねり倒れこんだ。家臣はもだえる秀忠をどうすることもできない。そこに、女中のおしずが通りかかる。指圧の心得があると秀忠の腰を揉みさするおしずに秀忠はまんざらでもない。おふくは遠くからその様子をながめ、ある思いを胸に秘めた。
数日後。正勝たちを伴い竹千代が庭を歩いていると、向こうから国松たちが騒ぎながらやって来る。騒ぎのもとは、正利に対するいじめであった。正勝が制すと小姓たちは消えて行ったが、残った正利は頑なに心を閉ざす。おふくが人を殺し、自分たちを捨てたのなら、自分も母と兄を捨てると正利。騒ぎが落ち着き正勝が辺りを見回すと、竹千代の姿がない。聞き付けたおふくも城内を探し始めた。
おふくがある部屋を覗くと小さな布団の山が揺れている。竹千代が泣いて震えていた。どこにも行くなと涙目で懇願する竹千代をおふくは抱きしめた。意を決したおふくはおしずの部屋に行き、一生の頼みと両手をついておしずに頭を下げた。
一月ほど経った秀忠の狩の日。秀忠が狩小屋で着替えをしようとすると若い女が現れた。おしずである。女の魅力を存分に発するおしずに、秀忠もついむらむらとし、ついにおしずを押し倒してしまう。そのまま眠りについてしまった秀忠が目を覚ますとおしずの姿はない。すると襖が開き、おふくが現れるのであった。無料動画
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第4話 母上の死
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あらすじ
竹千代が三代将軍家光(西島秀俊)となり、正室に公家最高の五摂家の一つ、鷹司家から孝子(木村多江)を招いた。さらにおふく(松下由樹)は、大奥初の総取締に任じられ、大奥諸法度を定めた。おふくの権勢は絶頂を迎えたのであった。逆に、先代将軍秀忠(渡辺いっけい)の正室・お江与(高島礼子)は、おふくに対し恨みが募るばかりである。家光の弟・忠長(浜田学)を前に怒り狂う日々であった。忠長に仕える正利(杉崎政宏)は、二人に家光が男色との噂があるので心配いらないと伝える。それはお江与を喜ばせるものであった。実際、家光は宴に明け暮れ、正勝(榊英雄)に促されても孝子の待つ寝間に戻ることはなかった。
そんなある日、お江与の耳に秀忠がおしず(雛形あきこ)という女中に子供を産ませたという話が聞こえてきた。秀忠が側室も取らずに自分だけを愛したと信じていたお江与にとっては衝撃であった。すぐさま秀忠を問い詰める。秀忠は、お江与の剣幕につい裏で糸を引いたのがおふくであると、名前を出してしまう。
ある日、お江与は奥女中らが居並ぶ茶会の席で、おふくにおしずの話を切り出し、責め始める。しかし動じないおふくにお江与はさらに憎しみを込め、家光は男色にて世継ぎができないと言い放つ。さすがのおふくも言葉を失う。おふくは堪りかねて、家光に男狂いについて問いただすが、家光は「寝間のことまで口を出すな」と聞く耳を持たない。
そんなある夜、家光は正勝らの制止を振り切り、お忍びで城外の祭りに繰り出す。何か満たされておらず、寂しさを紛らわすために、踊りの輪に入って行った家光に、怪しい人影が近づき襲いかかる。間一髪、正勝が助けに入り事なきを得るが、正勝が家光に襲いかかった男を追い詰めると、なんと弟の正利であった。
正勝は、家光に自分と弟・正利を処分するように迫るが、家光は背後に忠長、さらには母・お江与がいるかもしれないと、騒ぎ立てずに放っておくことにする。しかし、おふくはお江与に正利を渡すよう二の丸の部屋に出向く。しかしお江与は激昂して、おふくの申し出をきっぱり断るのだった。
そんな折、家光は秀忠、忠長とお上に挨拶するため京に出かけることになった。お江与は忠長の身を案じ京都行きに反対する。しかし忠長はめったにないチャンスとお江与に安心をと説き、出かける。だがお江与は辛抱たまらなく、寝食を忘れて祈り続ける。無理がたたり体を壊してしまったお江与は病に臥せてしまう。重病との知らせが京で行事をこなす三人にも届いた。即刻江戸城に帰るという忠長、秀忠とともに公務を続けるという家光が対立。
おふくはお江与が重病と知り、見舞いに訪れるが…。無料動画
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第5話 囚われた尼君
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あらすじ
ある日の京都。尼寺・慶光院の新院主(瀬戸朝香)の天皇に対するお披露目が行われていた。慶光院は、公家出身で、心根の優しさ、人望の高さ、信仰の篤さそして美しさと、非の打ち所のない尼僧であった。仲の良い尼僧見習い・お玉(星野真里)と共に院の門外に出て活動する慶光院を物陰の駕籠から三代将軍家光(西島秀俊)が見つめていた。
そのころ江戸城では、おふく改め春日局(松下由樹)の権勢はさらに拡大し、政治にまで大きな影響を及ぼすようになっていた。ただ、家光に世継ぎのできぬことだけが春日局の心労の種。正室の孝子(木村多江)に麝香を焚き染めた寝間着を着せてもまったく効果がない。孝子も家光に情などまったく感じている節もない。そんな折、中臈の村雨(小松みゆき)が、家光が京で慶光院院主のお披露目にお忍びで出かけ、長い間眺めていたと報告してきた。春日局の目が光った。
それからしばらくの後、慶光院院主やお玉ら慶光院の尼僧たちは江戸の拝領屋敷に滞在していた。家光に跡目相続の挨拶とお礼に訪れたのだ。春日局の配慮により下にも置かぬもてなしである。春日局から贈られた菓子などを食べながら、一行は遠謀など知る由もなく、春日局の噂話などに花を咲かせるのだった。
江戸城謁見の間で、家光と慶光院が顔を合わせた。家光の江戸への逗留を促す言葉を、慶光院は即座に拒絶し春日局を唖然とさせる。しかし、家光は快さを感じる。春日局は苛立ちを隠せず、なぜ尼僧になったのかと攻撃の手を変えた。すると慶光院は、尼寺は女の駆け込み寺。心の傷を負った女が逃げてくるところ。この世の機微は、自分より春日局の方が知っているはずと切り返す。返す言葉のない春日局を見て、家光は笑いをこらえ切れない。謁見が終わるころ春日局は、一計を案じ、淡路守に金子を用意し拝領屋敷に持っていくようにと命じた。受け取った慶光院は、あまりにも高額な金子に不安を覚える。
その夜、慶光院が仏への勤めを行っていると外が騒がしくなり、尼たちの悲鳴まで聞こえてきた。お玉が慶光院に危険を知らせに来るが時すでに遅く、多数の武士が部屋に上がり込んで来た。そして、その中から春日局が現れる。「明日からは仏ではなく上様にお仕えしていただきます」という春日局の言葉に、慶光院は怒りをあらわに詰め寄るが、武士に抑えられ、連れ去られてしまう。
お玉は、ほかの尼僧のように京に戻る気にはなれなかった。姉以上に慕う慶光院を助けようと江戸城に赴くが、武士たちにはまったく相手にされない。とうとう、大奥の女中になると申し入れる。お玉はやっとの思いで春日局にお目通りがかなうが、春日局は、「慶光院は側室となったので、女中になっても会えない」とお玉を追い返そうとする。だが、お玉は「這い上がって、いつか会ってみせる」と大奥入りを果たすことになった。
実際、廓で苦労してきたお玉は、古参の女中のいじめなど意に介さず、頭角を現していく。そんな中、家光の正室・孝子が、中の丸に追いやられたと聞く。慶光院が現れたので、春日局の厄介払いなのだろうか。
ある日、大奥のさらに奥にある座敷牢に膳を持っていく春日局。扉を開けると慶光院が静かに座っている。数カ月の幽閉に疲れきった様子で、自分は死ぬのかと慶光院。夜になると女の泣き声が聴こえるというのだ。春日局は微笑し、髪が伸びるまでの辛抱とその場を去るが、別の座敷牢にも足を運ぶ。そこにも女の影が……。
春日局が自分の部屋に戻ると怒りに震える家光が待ち受けていた。家光は京都の慶光院からの手紙を突き付け、寺に返してやれと続ける。だが、春日局は冷静に、還俗すれば寺には戻れない、自分は地獄に落ちる覚悟と家光を見据える。家光は興奮を収め、好きにしろと背を向けた。
居室に戻った家光は、笛の奏者の半井隼人(金子昇)に女性についての悩みを語り始める。隼人は、自分には菩薩に似た姉がいるが行方不明だと話す。家光は、隼人に東の櫓の前で笛を吹いて来るように命じた。隼人は笛を吹きながら、キリシタンだった優しい姉のことを思い出していた。
まさにその時、慶光院は行く末をはかなみ自ら命を絶とうとしていた。そこに聴こえてくる笛の音。耳を澄ます慶光院は、死を思いとどまるのであった。それから毎夜聴こえてくる笛の音に慶光院は慰められ、生の喜びを聴き取るのであった。
ある夜、ついに慶光院は窓の下で笛を吹く隼人に声を掛けた。そして身の上を話し始めるが…。無料動画
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第6話 覚悟の夜
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あらすじ
お万(瀬戸朝香)の御寝所に初めて家光(西島秀俊)がやって来た。お万に心を見抜かれるような清冽な光で見つめられ、家光はたじろいでしまう。実は、お万の奥の部屋には謎の男、半井隼人(金子昇)が身を潜めている。緊張の空気が三人を取り巻くが、家光は顔を見に来ただけと去って行く。安堵したお万が奥の部屋を開けると、すでに半井の姿は消えていた。
そんな頃、お玉(星野真里)はお万に会える日を夢見て、大部屋の女中として歯を食いしばり頑張って働いていた。ある日、廊下を歩く春日局(松下由樹)を見つけたお玉は、意を決してお万について尋ねるが、春日局に尼寺へ帰れとあしらわれてしまう。いらだつお玉の横を葛岡(鷲尾真知子)たちがバカにしたように通り過ぎる。怒り心頭に発したお玉は、思わず葛岡たちに桶の水をぶちまける。そこを通りかかった朝比奈(梶芽衣子)が、それを見とがめお玉に罰を与える。朝比奈はその罰に耐えたお玉の根性に感心し、若き日の春日局を思い出す。そして部屋付きに取り立てることにする。
朝比奈が用意してくれた着物を着込んだお玉は、部屋を抜け出し、お鈴廊下で上様を迎える列に紛れ込む。すると、髪を長く伸ばしたお万が目の前を歩いていく。お玉はたまらず「尼君様!」とお万に声を掛ける。振り向くお万。緊張する春日局。すぐさま女中たちに押さえられ退出させられそうになる。それをお万は「やめなさい!」とよく通る声で制した。お玉に近づき手を取るお万は、お玉の苦労を察し涙ながらに侘び、二人は抱き合い再会を喜んだ。そしてお玉はお万の部屋付きに取り上げられた。
夜、お万とお玉が久し振りに語らっていると、外からあの笛の音が聞こえてくる。お万はお玉にあの笛の音のお陰で死を思いとどまったと話す。笛を吹いていた半井は、家光が現れたのを見て吹くのをやめようとする。家光は吹き続けるように促しながら、お万について語り始めた。半井は気弱な男の顔を見せる家光を見ながら、村が襲われ姉が連れ去られた時のことを思い出し、複雑な思いに駆られる。
日が変わり、お万の元へ家光からの贈り物の着物を持って春日局が訪れる。家光からの着物を拒んだお万に、春日局は側室としての務めを果たすよう強く言いつける。お万は話をそらし、家光の正室・孝子(木村多江)に侘びを言いたいと申し出る。春日局はお万の落ち着きぶりにたじろいでしまう。
お万はお玉を伴い、中の丸に追いやられた孝子を訪ねた。お万が詫びを述べるが、孝子は「侘びなど無用」と言い放ち、反対にお万を哀れむ。
ある夜、家光・孝子がお万のために催した音曲の宴の席で、お万はあの美しい笛の音を聞き驚く。お万は楽士たちの中に笛を吹く半井隼人の姿を見つける。音楽が終わり、家光に思わず半井のことを尋ねてしまうお万。お万は半井から目が離せない。そんな二人の視線のやり取りを春日局は見逃さなかった。
その晩、春日局が膳を座敷牢に運んでくる。その中には朽ちるように一人の女性が横たわっていた。その女性とは、半井の姉・おゆき(遠山景織子)であった。
ある日、お万は幽閉されていた座敷牢で見つけた十字架を春日局に見せ、本当のことを教えてほしいと尋ねる。春日局はお万を連れて牢に向かった。お万がいた座敷牢よりさらに奥の暗い牢の中に、げっそりとやつれた半井の姉・おゆきが臥せっていた。春日局は、おゆきのいきさつを語り始める。お万は、おゆきの姿に涙しながら「なぜそうまでして上様に側室を」と春日局に問う。「それは徳川の世が続くため。強い力が世を束ねれば戦乱はない。そのためならば命を鬼に取られても悔いはない」と、春日局はきっぱりと言い放った。
そんな夜、中の丸の孝子からお万にお呼びが掛かった。出向いてみると孝子は楽士たちを集め遊びに興じていた。その楽士の中に半井の姿を見つけたお万は心ときめく。お万は機を見て半井に歩み寄り声をかけ、自らの覚悟を語り始める。無料動画
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第7話 新たな側室
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あらすじ
お万が家光(西島秀俊)の寵愛を受け、春日局(松下由樹)の心は複雑に揺れ動いた。そんな春日局は、賑やかな浅草に出かける。お万を牽制しようと新たな側室を探し出すためだ。春日局はそこで、質素だが心優しい町娘・おらん(後のお楽=京野ことみ)を見つけた。
おらんの素性を調べ上げた春日局は、飛鳥井(かとうあつき)を供に、後日突然、おらんの長屋を訪れた。「まず部屋付きで、のち側室に」と春日局は切り出す。おらんの家は、元は武家でお家取り潰しに遭い、母は病床に就き、兄は仕官もままならない。おらんはその場で「お家再興と兄の仕官がかなうなら」と奉公を承諾する。春日局の思惑通りである。
このころ大奥は、質素堅実な武家風の春日派と、優美で華やかな公家風のお万派に分かれていた。春日局の厳しい締め付けによる息苦しさを和らげてくれるお万の人気は上がる一方であった。気に入らない春日局は、お万のまねをして華美な着物を求める女中たちに、「新調は一年一人一着」など厳密な規則を押し付けた。それを聞いたお万は、自分の着物を女中たちに配る。それがおもしろくない春日局はお万に直接、その意を質した。
「大奥総取締は私。側室の一人に過ぎぬあなた様の勝手な振る舞いは、後から入る方に示しがつかぬ」とたしなめる。「後から……」と緊張するお玉(星野真里)ら。お万が尋ね返すと、春日局は、近々、もう一人側室候補が来ることをお万に言い放ち勝ち誇ったように去っていくのだった。飛び掛ろうとするお玉を悲しげに制すお万だった。
春日局が再びおらんの元へやってきた。長屋の部屋に多額の金子が積み上げられる。おらんは騒乱に通じるので“お楽”と名を変えることを申し渡す春日局。床で悲しむおらんの母・おきよ。異を挟もうとする兄。しかし、おらんは「異存ございません」と気丈に答えるのであった。しかし、おらんには思いを寄せる宋兵衛がおり、涙ながらに別れる。
そんな大騒ぎの長屋の前に、一人の威勢のいい魚屋の娘・お夏(野波麻帆)がやって来た。おらんの長屋仲間である。
春日局がおらんの家から出てくると駕籠がない。お夏が自分の家で駕籠かきをもてなしていたのであった。一服するようにと春日局に勧めるお夏は、おらんの側室の話を問う。そして、大胆にも自らを売り込む。春日局は一笑に付すが、お夏は引かない。突然、春日局の目の前で半纏とさらしを脱ぎ捨て「顔で負けても体は負けません」と息巻く。春日局もそれには圧倒されてしまう。
夕刻になって一人佇むお万の耳に、隼人(金子昇)の笛の音が聞こえてきた。「あなたの笛を恋しく思っていました」と隼人に歩み寄る。そして、新たな側室が来ることを伝え、自分は尊いことをしていると思っていたが、浅はかだったと悔恨を口にする。隼人はお万を慰め去っていく。お万の心はときめいた。
そんな隼人は、大奥の隠し座敷牢をやっと見つけ、夜陰に乗じて衰弱しきった姉・おゆき(遠山景織子)を助け出した。おゆきはイエス様を裏切り、踏み絵を踏んでしまったと震え、泣きながら吐露する。隼人が慰めると、安心し微笑を見せるおゆき。隼人は再びおゆきを背負い出発しようとする。だが、おゆきの手には隼人の短刀が握り締めてあった。知らずにおゆきを背負う隼人。おゆきの胸に突き刺さる短刀。これからの人生や思い出話をしながら先を急ぐ隼人の背中で、おゆきは静かに息を引き取るのだった。
大奥では、おゆきの逃亡が発覚した。春日局の指示が飛び騒然となる。お万はそれを不安げに聞いていた。そこへ、家光がお万に会いに現れ、一緒に隼人の笛を聞きたいと誘う。笛を吹く隼人。その音色に聞き入る家光。複雑な思いにかられるお万。無料動画
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第8話 将軍倒れる
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あらすじ
春日局(松下由樹)は、家光(西島秀俊)の心がお万(瀬戸朝香)だけに惹かれることを懸念していた。正室の孝子(木村多江)はもとよりお万も公家の出身であり、もしお万が世継ぎを産んだ場合、朝廷・公家勢力の伸張を促す恐れがあるのだ。実際、お万の父親・六条有純は江戸城を訪れ、家光に強く政治的な配慮を求めるのだった。だが、六条有純は城内でお万を見ても娘とは気付かず、お万は家族の絆の虚しさを感じ、深く傷つくのだった。春日局は、そのことを含んだ上で、町娘のお楽(京野ことみ)、お夏(野波麻帆)を側室として招いたのだ。
もちろん、政治家でもある家光は、春日局の考えは理解していた。すぐにお楽と褥(しとね)を共にする。だが、お楽は恋人・宗兵衛のことを思い出し、無意識に家光を拒絶してしまう。春日局は慌て、家光が入っている風呂へお夏を送り込む。家光はその夜お夏と褥を共にするのであった。翌朝、春日局はお楽のもとへ出向き、「側室は武士と同じ。お役怠慢の武士がどうなるか考えよ」と説得、お楽は兄の仕官や母親の治療などを考え、唇を噛み締めた。
春日局には気になることがあった。家光の脇息に刀傷があったのだ。—半井隼人(金子昇)との立ち回りでついた傷である—。そういえば、隼人の姿も見えない…。家光にそれとなく尋ねるが「座興で切れ味を試しただけ」と家光は言葉を濁す。ただ春日局には見当がついていた。
ともかく春日局にはお万の存在は疎ましかった。家光が「お万のもとに渡る」と言い出す晩には、春日局は「あの薬を飲ませます」と切り返す。そう聞くと家光はやめざるを得ない。なんと、劇薬の避妊薬を食事に混ぜるというのだ。ところが、春日局は毎日その薬を飲ませていたのだった。お万は家族からも家光からも、そして隼人からも遠ざけられる形となり気が沈む毎日であった。
そんな隼人は孝子の実家・鷹司家ゆかりの寺で働いていた。そこを通り掛かる武士たちが、「近くキリシタン狩りが行われる」と話しているのを聞き、亡き姉や家族や仲間を思って、抑えがたい怒りと悔しさが湧き上がるのであった。
そんなある日、お楽が具合を悪くし倒れた。妊娠であった。春日局は満面の笑みを浮かべるのであった。だが、お楽の体調は戻らない。それを聞いたお万は、春日局にお楽を家族に会わせるようお願いする。春日局は聞き入れようとしないが「お世継ぎのために」と言われ、しぶしぶ認めることに。その甲斐あってお楽は家族と涙の対面を果たす。お万がほっとしつつ、それを羨まし気に横から眺めている。そんなお万の気を晴らすため孝子はお万を寺参りに誘う。
お万が、孝子やお玉(星野真里)、飛鳥井(かとうあつき)らと孝子なじみの寺に行くと、なんと隼人がいる。孝子の計らいであった。お万はしばし隼人と二人の時間が過ごせた。隼人はそこでキリシタン狩りの話をする。お万は隼人の性格から、不安でいっぱいになった。離れて二人を見ていた孝子は「まるで織姫と彦星」とのんきに構えているが、飛鳥井はその事実をすぐに春日局に報告した。春日局は直ちに隼人の素性を調べるよう側近に命じ、家光にその結果を報告するのであった。家光はお万に裏切られた気持ちで苛立ちを覚えた。嫉妬に苦しめられる家光は、その胸苦しさを矢に込め一人弓を射っていた。すると、家光がよろめきその場で気を失ってしまう。無料動画
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第9話 非業の死
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あらすじ
家光(西島秀俊)が不治の病・痘瘡に罹り、春日局(松下由樹)は、何かが乗り移ったように看病の限りを尽くした。だが、お万(瀬戸朝香)は、城を抜け出し、隼人(金子昇)のいる寺に向かう。お万は、隼人と自分の関係を春日局に気付かれているうえ隼人の所在も知られた、キリシタン狩りについては自分が家光を諌めるゆえ、ついては早く逃げるように、と隼人を促す。だが、お万への愛と同時に、家光への怨念を深く心に刻む隼人は、お万の力なぞ無力であることを告げ、二度と会うことはないと苦渋の別れを果たす。この密会はすぐに春日の知るところとなる。
病床の家光は、お万の気持ちは見通していた。そばにお万を呼び「すべては政のため。許せ」と詫びるのだった。そんな家光に春日局は、隼人との密会を報告する。だが家光は「遺言と思って聞け。お万に指一本触れるな。二人は放っておけ」と春日局に言い置くのであった。
数日後、家光の意識が途絶えた。看病で疲れ切った春日局はお江与(高島礼子)の幻想を見た。夢の中のお江与に「上様のお命だけは取らないでくだされ」と懇願する春日局はお江与の微笑を見るとたちまち意識を失った。春日局が目覚めると、なんと家光は奇跡の回復をしていたのだった。
城に日常が戻って来た。特にお夏(野波麻帆)は、家光の子を産もうと滑稽なほどの努力をして、家光に可愛がられる。ただ、側室たちの相互牽制で権力や家光への愛の分散を図る春日局は、また新たな側室おりさ(末永遥)を迎える。
ある日、お万は家光にキリシタン狩りを行わないように進言する。家光は怒りを爆発させ「二度と政の話をするな。再びわしを怒らせたら命はない」とまで言い放つ。お万は自分の無力感に苛まれる。数日後、お万はお楽(京野ことみ)に会いに来た宗兵衛(永山たかし)を不憫に思い城内で再会させる。そこへ突然春日局が現れた。二人を引き裂いた春日局はお万のもとへ出向き、厳しくなじる。しかし、お万も「将軍家の種を宿す道具にも心があるのです」と強く切り返すのであった。
春日局は怒り心頭に発し、すぐに行動に移った。隼人を亡き者にしようと、寺社奉行を連れ、寺に乗り込み隼人を捕らえた。無料動画
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第10話 許されざる生命
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あらすじ
日光詣での家光(西島秀俊)に直訴しようとした隼人(金子昇)は、お万のために守らねばという家光の意思及ばず家臣に斬殺された。その時、お万(瀬戸朝香)の足元に椿の花が雨のように降り落ち、お万は不吉な予感にさいなまれる。また、同じころ、お楽(京野ことみ)は、激しい腹痛に襲われ流産の危機に直面し、城内に緊張が走った。お楽はしばらく床に就くことになった。
大奥でも世俗と同じように七夕の会が催される。短冊を笹につけようと側室や女中らが集まっていると、旅の途中、家光が何者かに襲われたと噂が流れている。よもやと、お万は直ちに家光に問いただした。家光は複雑な思いで「謀反人ゆえ、わしが成敗した」とうそをついてしまう。翌朝から、お万は朝の総触れに参加しなくなった。
お楽は、どうにか母子とも持ち直したが、春日局に子供は乳母に育てさせると言われショックを受ける。側室のおりさ(末永遥)も妊娠した。お夏(野波麻帆)は自分より早く子供ができたおりさが気に入らない。七夕の短冊をより高いところへ結ぼうとするおりさに足の壊れた踏み台を渡し、おりさはものの見事に転がり落ちる。すると、おりさの足元に水が広がる。流産かと一同騒ぎになったが、なんと腹に入れた水枕が破れたのだ。おりさの妊娠は偽りであったのだ。
春日局は怒り、お夏、おりさの二人を呼びつけ、蟄居を言い渡す。だがその席にお万が現れ、弱い者同士戦っても、悲しみをいたずらに増やすだけだと二人を説得する。春日局は礼を言う振りをして、お万に総触れに出席するように促す。ところが、お万は総触れどころか、将軍の閨を断る「褥すべり」を申し出る。鼻白む春日局に、お万は「許されなければ死ぬまで。私は死者のために祈る」と言い残し去っていくのだった。
しかし、春日局は引き下がらない。ある夜、閨に来るようにと呼びに来た春日局は、部屋の前に座り、お万が出てくるまで動かない。お万のことを思うお玉(星野真里)は、自ら身代わりとなり、家光の寝所へ向かった。
お玉は「無理が過ぎる。お万の気持ちを考えよ」と家光を厳しく責めた。家光は、それをさえぎり、「キリシタン狩りはやめた。わしは生まれてこのかた好きでしたことなど一つもない…」と静かに胸のうちを明かす。「お万だけは我を通した。お万はわしにはまぶし過ぎた…」と吐露すると、お玉は「なぜその気持ちをお万様に見せぬ」と詰め寄る。家光は、深く感じ入った。さらにお玉は、家光が隼人をかばったことも知る。
お玉は部屋に戻ると、家光の話を一部始終お万に伝えた。お万は、家光の心情と自分の誤解を思い、たまらず家光の部屋に向かおうとした。廊下に出ると騒がしい。お楽が産気付いたのだ。しかも出血が激しく大変な状況である。と、お楽がお万を呼ぶ。お万は人払いさせ、お楽と二人きりになった。
お楽は、恋人の宗兵衛からもらったお守りを見せ、死んだら一緒に埋めてくれと託す。お万は、あきらめてはいけないと元気付ける。そこへ陣痛が襲ってきた。赤ん坊の泣き声が響き渡り、世継が生まれた。お楽の枕元へ来て春日局が乳母を呼ぶ。こわばるお楽。すぐさまお万が、子供はお楽の元へ置いてほしいというと、なんと背後から家光も「わしからも頼む」と声を掛けてきた。「我が子を抱けぬ母ほど不憫なものはない」。反論しようとする春日局を制して家光は去って行った。その時、家光とお万の心が通いあった。春日局は面目や家光への思いが崩れていくのだった。
一月ほど経つと、お夏の妊娠も発覚。大奥は賑やかに華やいだ。だが、お万は孝子(木村多江)に自分も中の丸に下がろうかと相談する。
そんな折、春日局にとって捨て置けない事件が起こり、お万と全面対決へ向かうことになる…。無料動画
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第11話 命果つるとも
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あらすじ
春日局(松下由樹)とお万(瀬戸朝香)の確執は、お万の妊娠を巡って頂点に達しようとしていた。春日局は堕胎を強く勧めるが、凛とした態度で拒絶するお万。膠着状態に陥った2人の間に、お玉(星野真里)が割って入る。お玉は、家光(西島秀俊)の意志でなければ従えないと春日局を追い返した。仕方なくお万の部屋を辞した春日局の怒りは収まり様もない。御膳所では、自分の言いつけ通りにお万のお膳に薬を入れなかった葛岡(鷲尾真知子)たちを叱りつける。春日局は、今からでも遅くはないと気分を変えるが、廊下に出ると悪寒と動悸が体に襲い掛かって来た。
一方、春日局が去ると、お万はお玉を労っていた。だが、お万は春日局の考えも分かると言う。そんな時、お楽(京野ことみ)、お夏(野波麻帆)、おりさ(末永遥)がやって来た。3人はお万の妊娠、出産に賛意を示し、共に闘うことを誓う。
春日局は、今回、お万が子を産むことを決して許さぬようにと家光に進言。お万と半井隼人(金子昇)のことまで蒸し返して忠告する。しかし、家光はお万を許してしまう。春日局は、自分の半生の苦労を反故にするつもりかと家光に思い直してもらおうとする。だが、家光は、これが自分のお万への罪滅ぼしだと、その決意は固かった。
程無くして、お夏が男児を出産。後の甲府宰相綱重だ。これにより、春日局の焦燥はいよいよ深いものとなる。しかし、正室の孝子(木村多江)もお万に与することを表明していた。
お万の堕胎に執念を燃やす春日局は、お万のお膳に自ら堕胎薬を入れる。御膳所を出た春日局は強い心臓の痛みを感じて立ち尽くす。なんとか発作を抑えて顔を上げると、廊下の突き当たりにお江与(高島礼子)がいるではないか。言葉は発せず、どこか哀れむような表情のお江与の幻影に、春日局は自分の行いを悔いることはないと訴える。罪の重さは、家光の代わりに自分が背負うという決心を吐露すると、お江与の幻影は消えていった。
さらに廊下を進むと、家光とお夏が仲良く子をあやす姿に出くわす。春日局に気がついたお夏は、歩み寄って春日局に子を抱かせる。すると、家光に乳を含ませた昔の記憶が甦ってきたのか、春日局の目から涙がにじんできた。
その頃、村雨(小松みゆき)が緊張した様子でお万に食事を運んできていた…。無料動画
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