ドラマ『顔』の動画を全話無料で見れる配信アプリまとめ

  • 2024年9月5日
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2003年4月〜6月に放送されたドラマ『顔』

この記事では、ドラマ『顔』を無料で全話見ることができる動画配信アプリ・サービスを調査してまとめています。

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ドラマ『顔』はどんな作品?

話数 全11話
放送年 2003年4月期
放送枠 火曜21時
原作 横山秀夫「顔」
脚本 高橋留美
佐伯俊道
平見瞠
演出 土方政人
都築淳一
松田秀知
音楽 佐藤直紀
主題歌 Nao「君があなたが」
キャスト 仲間由紀恵
オダギリジョー
京野ことみ
海東健
品川祐
菅原大吉
北山雅康
御子柴哲郎
河原さぶ
益岡徹
矢島健一
升毅
近藤芳正
黒坂真美
田中哲司
立川絵里
田中律子
余貴美子

佐伯俊道 佐藤直紀 土方政人 平見瞠 松田秀知 都築淳一 高橋留美 オダギリジョー 京野ことみ 仲間由紀恵 余貴美子 北山雅康 升毅 品川祐 御子柴哲郎 河原さぶ 海東健 田中哲司 田中律子 益岡徹 矢島健一 立川絵里 菅原大吉 近藤芳正 黒坂真美

主人公

名前(演) 平野瑞穂(仲間由紀恵)
年齢 23歳
職業など K県警の広報課に所属する女性警官。正義感が強く、職務を超え目撃した痴漢を単独で捕まえようとするほど。

あらすじ

家族の顔は魔法の鏡だ。彼らの顔を見ると、そこに過去・現在・未来が映っている(GAIL L BUCKLEY)

人はどんなに感情を押し殺しても、喜怒哀楽の微妙な表情は顔や態度に出てしまいます。"人相に人生あり"と、人の心の奥底を見抜く能力を持った似顔絵捜査官が、当ドラマのヒロインである平野瑞穂。

原作は人気ミステリー作家の横山秀夫氏が著した「顔」。

「だから女は使えねえ」と馬鹿にする男たち・・・そんな旧態依然とした男社会の警察組織の中で、したたかに、ひたむきに事件と立ち向かい人を幸せにしたいと思う瑞穂。

事件そのものは刑事たち警察側が解決し、瑞穂はスーパーヒロインではなく、犯罪に関わった者の隠された真情や心の闇に迫っていく・・・

引用元:番組公式サイト

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以下に各話のあらすじや主要動画配信アプリ・サービスでの配信状況をチェックできるリンクを載せておくので、こちらもチェックしてみてください。

『顔』の各話あらすじ

第1話 似顔絵が暴く心の謎

あらすじ

K県警の女性警官である平野瑞穂。彼女は自分の所属する広報課の職務を越えて、目撃した痴漢を単独で捕まえようと奮闘してしまうほど、正義感が強く前向きな女性。時には周りが見えずに突き進むこともある。
入署当初は、絵の腕を見込まれて、鑑識課の似顔絵捜査官を務めていた。しかし、ある事件で捜査を撹乱させるトラブルを起こし、広報課に左遷されたのであった。今村室長をはじめとする広報課の人々は、そんな瑞穂に何かと冷たい視線を向ける。
実は瑞穂には、ある特殊な能力があった。自分の描いた似顔絵の微妙な表情から、その絵の人物や、それを描かせた人の心を読みとる事ができるのだ。

一方、K県警刑事部捜査一課には、他署から移ってきたばかりの若手刑事、西島耕輔がいた。彼は、前の署でいわくつきの男。上司の強行捜査班六係リーダー・鶴田警部は、耕輔を案じながらも、刑事としての腕を買っていた。
その耕輔には、幼い頃、母親が何者かに殺され、自分がその第一発見者になるという過去があり、それが起因して、彼はある女性暴行事件の犯人を殺す寸前まで殴りつけるという騒動を起こし、K県警に異動になったのだった。
その事実を唯一知る鶴田警部は、カウンセラーの樋口京子の治療を受けるよう勧めていた。

そんな瑞穂と耕輔は、ある日県警の廊下でぶつかる。抱えていた資料を落としてしまった瑞穂は、何も言わずに歩いていこうとする耕輔に謝るように呼び止めたが、耕輔は瑞穂を睨みつけて足早に去る。
「警察に女はいらない」というのが、耕輔の持論なのだ。

管内では、連続した放火事件が発生していた。ライバル関係にある鶴田班と亀田班は競って捜査に乗り出していた。耕輔も、新米刑事の尾崎を連れて、連日徹夜で放火犯を追っていた。一度、耕輔は犯人らしき人物を目撃し、追いつめたが、寸手のところで尾崎のミスにより、取り逃がしてしまう。鶴田から大目玉をくらう耕輔。

一方、瑞穂は広報課で、放火犯を知っているという女性からの電話を受けた。それがただの悪戯とは思えない彼女は、警務課で同期の加奈子が止めるのもきかず、独りでその女性・中嶋しおりのもとへと向かった。
しおりは、瑞穂に、自分の叔父が犯人であり、いずれ自分のところへ復讐に来ると告白し怯えた。かつて、彼女の両親は放火によって殺され、その犯人として叔父・中嶋健二が捕まっていたのだ。

瑞穂の単独行動を知った耕輔は、「女が余計なことをするな!」と言う。そんな彼に向かって、「西島さんの顔が見えない」と呟く瑞穂。瑞穂には耕輔の本当の心が見えないというのだ。その言葉にはっとする耕輔。

一方で、捜査が停滞する放火事件をしつこく調べ回っていた記者の内村は、放火現場の写真を見ていた瑞穂と加奈子の会話から、ある人物に的を絞り、記事を書き始めていた。
耕輔に無理に中嶋健二の調査を依頼し、意外な事実を知る瑞穂。健二はすでに服役直後に自殺していたという。
瑞穂と耕輔は、当時事件を担当した元刑事・石田の家を訪れる。そこで、石田から、金や暴力でトラブルの絶えなかったしおりの父親に比べ、穏和で人柄の良かった健二が、しおりの母親と関係があり、しおりはその子供ではないかという推論をきく。
しおりの証言を元に描いた健二の優しい似顔絵の表情に気づき、実はしおりは健二を慕っていたのではないかと思う瑞穂は、西島と共にしおりを問う。
「憎んでいたのではなく、本当は愛していたのではないか」と。
しおりは戸惑いながらも、少しずつ記憶を取り戻す。

放火によって両親を殺したのは、実は5歳のしおりであった。父親からの虐待に堪えかねた幼いしおりが、両親の寝ている間に火をつけ、それを知った健二がしおりをかばって罪を被ったのであった。
健二の自分への愛を思い出して、涙を流すしおり。

しおりの部屋からの帰り道、瑞穂はある男とすれ違う。その男こそ世間を騒がす放火魔と確信した瑞穂は、跡を追い、路地裏に追いつめて果敢に立ち向かったが、逆に反撃をくらう。しかし、間一髪のところで耕輔達が駆けつける。暴力的な犯人を見て、発作的に犯人を殴り続ける耕輔。驚いた瑞穂が、必死になって耕輔を抑えつけた時には、犯人は逃げることもできなくなっていた。

捕まった放火犯は、消防隊の一員であった。彼は、自分でつけた火を、何食わぬ顔で駆けつけては消していたのである。それを、いち早く記事に抜いたのは、瑞穂の周りで抜け目なく目を光らせていた、内村のみであった。瑞穂を見かけて「サンキュー」と言う内村に、瑞穂は首をかしげるばかり。

翌朝、広報室へ出勤してきた瑞穂の目の前には、しおりの姿があった。
過去を全て清算し真の自分を取り戻すために、過去の放火事件の真相を告白しに来たしおりは、晴れ晴れとした表情で瑞穂に感謝の言葉を告げ、毅然と県警の中へ消えていった。
その後ろ姿を、瑞穂は「頑張って」と呟きながら、笑顔で見送る。
そんな二人を見つめる耕輔・・・。

耕輔は、単なる女性警官とバカにしていた瑞穂のことが気になる。
「なぜあいつだとわかった」という耕輔の問いに、瑞穂は放火現場の写真を見て、何となく犯人を見抜いたと答える。
「俺の顔、見えたかよ?」
「人の顔なんて、そう簡単に見えるものじゃありません」
と茶目っ気たっぷりに微笑み、明るく仕事に向かうのである・・・。

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第2話 目立ちたがる容疑者・・・

あらすじ

「かすみ銀行・増淵支店」で銀行強盗の防犯訓練が始まる。瑞穂(仲間由紀恵)は訓練決行の合図を出すと共に広報写真の係である。午前10時の開始予定時間が延びており、冷や冷やしている瑞穂は、路上に一人の老人(左右田一平)が立っているのを発見した。彼に移動してもらい、やっと開始できたのは10時20分であった。予定通り、銃を持ちヘルメットを被った強盗役の刑事二人が銀行に押し込む。警察無線が「訓練」と前置きし「強盗発生」を通達する。10時25分には、捜査一課の鶴田(益岡徹)率いる耕輔(オダギリジョー)ら鶴田班や亀田(矢島健一)班が現場に揃う。と、なんと、同時刻に同じ「かすみ銀行」の北山支店に本物の銀行強盗が入ったのだ。
一課の捜査会議が始まった。犯人は、訓練を事前に知っていただけではなく、予定より20分遅れたのも認識している。となれば銀行か警察内部に関係する人間がいることは間違いなかった。重い空気がたち込める。
そんな中、東都日報の内村記者(海東健)は「警察失態 訓練中に強盗逃がす」という記事を書き、出入り禁止を求められてしまう。
北山支店の現場検証。耕輔たちが、行員たちに目撃証言を求めると、何故か、一人の行員・木村(本郷弦)だけが、他の行員が証言する背の高さとは違うと言い出す。しかも、木村は、耕輔と顔見知りの様子・・。

警察内部の不祥事を監視する海老沢監察官(山崎一)が動き始めた。職員が次々とチェックされて行く。瑞穂も呼び出された。そんな瑞穂を友人の加奈子(京野ことみ)が心配していると、同様に監察官から聴取を受けた警備課の林純子(三木さつき)が、暗い表情で「深井巡査と私の付き合いを知っていた」と嘆息する。林は、瑞穂がずっと憧れていた先輩警官だ。もちろん深井(椎場辰朗)も監察官に呼び出され、ギャンブル癖などを追及されていた。また、カウンセラーの樋口(余貴美子)も、耕輔のファイルを提出するように求められ、守秘義務を盾に拒否していた。
女子寮に戻り、林の部屋を訪ねると、彼女が荷物をまとめている。深井と結婚し寮から出て行くと言うのだ。加奈子も含めて小さなお別れパーティーを始めた瑞穂。偶然、林のデジカメの画像を見ると、そこには、デート先で幸せな笑みを浮かべる林と深井の姿が写っていた。
耕輔が一課に上がろうとすると、鶴田が呼び止め、この案件から外すと通告する。鶴田は、北山支店の行員・木村とコーヒーを飲む耕輔の写真を耕輔に渡した。この事件では、疑いを持たれる刑事は問題であった。そして、樋口のカウンセリングをすぐに受けるように命令する。その様子を見ていた内村記者。
そんな折、亀田班が、増淵支店の支店長と女子行員・遠藤(山岡祐子)に嫌疑をかけ、任意同行を求めた。二人が愛人関係にあり、支店長が訓練の情報を遠藤に流したというのだ。本部に同行された遠藤の顔を見て、瑞穂は、ある事実にひらめいた。訓練の直前に銀行の前にいた老人・石井と面影が似ているのだ。得意の似顔絵を描いて石井を探り当てた瑞穂は、石井に会う。石井は、遠藤が孫娘であること、支店長にひどい目に合わされていること、だが、強盗の手引きなどしないなど、切々と瑞穂に訴えた。
瑞穂が本部に戻ると、林が呆然としている。深井のギャンブル癖が監察室に洗われ、結婚が潰れるかもしれないと悩んでいたのだった。
一方、写真を手に入れた内村は木村に面会を求めた。木村は強盗発生の日に監査が入る予定だったことを教えてくれた。
と、その時、瑞穂は再び、海老沢監察官に呼び出された。出向くと、林の部屋で見た林と深井のツーショットの写真を見せられ、二人の関係を問い質された。瑞穂は何か引っかかるものを感じた。海老沢はすでに二人の関係を知っていたはずではなかったのか・・・・・・。デジカメの写真を送ったのは、実は、林自身でないのだろうか?
瑞穂は、耕輔を捕まえ、深井を洗うことを求める。深井はギャンブルで金に困っていたし、林は訓練の時間を把握していたからだ。耕輔は「事件と関係ない」と拒絶するが、瑞穂は「あなたに助けてもらいたい」と懇願する。そして一計を案じ、林を追い詰めることに。
林は、仕事にも一人でいる孤独にも疲れ、ギャンブルで借金を作った深井を助けるために、今回の銀行強盗を計画。そして、深井のギャンブル仲間で、同じく借金を抱えていた北山支店の行員を共犯に引き込んで行ったものだったのだ。林と深井の仲を自分でリークしたのは、銀行強盗の容疑から自分たちを遠ざけるためであった。
「私を逮捕しなさい」と言う林に、瑞穂は「自分を取り戻せるのは自分だけですから・・」と自首をすすめる。
後日、監察官に再び呼ばれた瑞穂。「君は警察が好きか?」と問われた瑞穂は、きっぱりと「はい、好きです」と答えるのだった。

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第3話  裏切られた愛を告発する似顔絵・・・

あらすじ

とある昼下がり、駅のガード下でバンドマンの砂田(青木堅治)が、今まさに自転車盗をしようとしていた。狙った自転車を引きずり出そうとした時、中年男性の足に自転車が当たった。「なめんなよ、ガキが!」。怒鳴る男。「ざけんなよ、オヤジ!」と返す砂田。緊張が走る。
数瞬後、近くを通りがかった子連れの女性が見たものは、血塗られたナイフを手に、路地から飛び出し走り来る砂田であった。顔は返り血がそばかすのよう。砂田は踵を返し、反対側に走り去った。驚きつつも、女性は砂田が現れた路地を覗いた。そこには中年男性の無残な死体が……。悲鳴が響き渡った。
そのころ、瑞穂(仲間由紀恵)は、久々に絵画教室でデッサンをしていた。と、そこへ、瑞穂の代わりに鑑識課に配属され似顔絵を描いている三浦真奈美(佐藤仁美)が現れた。「平野先輩みたいに主観をまじえちゃ犯人はつかまりません。画家向きなんじゃないですか」と挑戦的に絡んでくる。すると、真奈美の携帯が鳴った。「駅裏で殺しだそうです」。窪塚の事件が発覚したのだ。真奈美が飛び出し、瑞穂も後を追った。「車に乗せてってあげる」と瑞穂は誘うが、真奈美は意固地に「私の仕事です」と走り去るのだった。
記者発表が始まった。真奈美が描いた似顔絵が内村(海東健)ら記者に配られる。くっきりと描かれ過ぎた男の顔に瑞穂は怪訝な気持ちが湧く。内村もあまりに細密に描かれた顔に不審を抱くのだった。
内村は瑞穂を訪ねた。「似顔絵はデッサン力というより、読心術のようなもの。この絵は出来過ぎじゃないか」と内村。瑞穂は答えられなかった。瑞穂も、突然血まみれの砂田を見た主婦の供述で、真奈美が正確に表情を描けるか疑問だったのだ。
その夜、瑞穂が警察女子寮の自室でその似顔絵を見つめていると、外で物音がする。出てみると、真奈美が泥酔し倒れているではないか。真奈美の部屋に連れて行き寝かせてやると、真奈美は泣いている。瑞穂の疑念はさらに深まるのだった。
そんな夜、加奈子(京野ことみ)は耕輔(オダギリジョー)の陣中見舞いに行った。加奈子は耕輔に瑞穂のことを語り始めた。瑞穂が鑑識課を外された理由は、子供の供述から容疑者でなく父親の顔を描いてしまったからとされていたが、本当の理由は違うと言うのだ。実は、その後、別の目撃証言から新たな似顔絵を描き、その絵から容疑者が逮捕された。ところが、容疑者と似顔絵は髪型以外全く似ていなかったのだ。そこで、お手柄記者会見を控えた県警幹部は、瑞穂に逮捕写真を見て、マスコミ向けのさらなる似顔絵描きを命じたのだ。ところが瑞穂は描けなかった。県警は体面を失い、鑑識課長は左遷され瑞穂は広報に飛ばされた、と加奈子は説明するのだった。加奈子は、そんな繊細な瑞穂だからこそ、真奈美の精密に絵が描かれすぎた似顔絵に疑問を持っているのだと耕輔に迫った。耕輔は多くを語らず「有難う」と立ち上がった。
耕輔たちに情報が入った。似顔絵そっくりのバンドマンがライブハウスで演奏しているというのだ。耕輔の所属する鶴田班、そして、亀田班が張り込みに行く。「似顔絵とそっくりじゃねえか」。驚く鶴田班の刑事たち。
演奏が終わり耕輔たちが砂田を取り巻いた。逃げ出した砂田に、外で待ち受ける亀田(矢島健一)が「待て!砂田」と叫ぶ。なぜ亀田は名前を知っているのか……。耕輔たちは疑問を抱きつつも追うしかなかった。だが、一足早く亀田班が砂田の身柄を確保してしまった。
県警に連行される砂田。瑞穂は似顔絵そっくりのその顔を凝視した。
砂田逮捕の会見が始まった。砂田と似顔絵の相似に会見場は騒然となる。だが、耕輔ら鶴田班は、発表の中に書かれた「自転車を引き出し」のくだりに反応した。「指紋があったということだ」。鶴田班は色めきたった。果たして、砂田が5年前に傷害事件で逮捕され写真も撮られていたことが分かった。つまり、最初から砂田が捜査線上に上っていたのだ。
捜査一課に帰り鶴田(益岡徹)は亀田を問い詰めた。「本部長たちと絵図を描いたな!?」。本間捜査一課長(升毅)が割って入ろうとするが、鶴田や耕輔は、さらに「指紋で走査線に浮上した砂田の写真を目撃者に見せ、ウラを取った上で似顔絵を描かせた。瑞穂の件で失墜した面子をこんなカラクリ芝居で回復しようとしたろう」と迫る。
その時、資料を持って来ていた瑞穂が声を発した。「三浦さんを会見に出さないでください。傷つきます」
だが、本間は「指紋だけでは指名手配できない。似顔絵は逮捕するための道具だ」と言い放った。が、瑞穂は食い下がった。「女性警官は組織の道具じゃありません。心があるんです」。瑞穂は涙をこらえその場を飛び出した。耕輔は心の中で瑞穂とともに怒った。
瑞穂は広報課で、砂田の5年前の写真と似顔絵を見比べていた。何かが違う……。そこへ真奈美がやって来た。「記者会見に出ます。私、写真を見ていませんから」。「やっぱり」と受ける瑞穂。「5年前の写真は耳にピアスの穴がない。でもあなたの似顔絵にはピアスの穴が描かれている。でも、目撃者がそこまで覚えているわけはない。つまり、あなたは砂田を知っていたのよ」
真奈美は答えた。「さすが平野先輩ですね。犯人が砂田らしいと分かった時、写真なんか見ないでスラスラ描けました。交番にいた頃、恋人だったんですもの。でも交通違反をもみ消せないと分かったら、捨てられました。私、砂田が憎かったんです。私の似顔絵で逮捕したかった。私は先輩みたいな失敗はしたくない。だから会見に出るんです」
そのやり取りを外で聞いていた樋口(余貴美子)が、真奈美が出て行った後、瑞穂に近づいた。「あなたは真奈美さんを守ろうとしたようだけど、自分自身を守ろうとしただけなの。自分から目をそらしているのよ」と喝破する樋口。瑞穂は「だから苦しかったんだ」と樋口の言葉を一筋の涙を流しながら噛み締めた。
真奈美のお手柄記者会見が始まった。満面の笑顔の真奈美。それに微笑み返す瑞穂。内村はその会見に胡散臭さを感じている。
一方、耕輔は苛立ちを隠せぬまま、任務に就いていた。と、繁華街で瑞穂を見かけ声をかけた。「上の連中は気にするな」。うれしくなる瑞穂。「お前の顔が少し見える気がする」。耕輔はまた事件に向かって走り去って行くのだった。

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第4話 死刑囚の証言

あらすじ

OLが絞殺体で発見された。ドアをピッキングで開けられ、遺留品はなし。ただ被害者の体中に赤いマジックで「性悪」「バケモノ」と書きなぐられていた。電話線は切られていたが、被害者のもとには携帯電話が残されていた。本間一課長(升毅)が「実は16年前にも、絞殺体に赤マジックで落書きする事件があった」と捜査会議で切り出した。興味を持つ耕輔(オダギリジョー)ら若手刑事。鶴田(益岡徹)が「迷宮入りだった」と無念がる。
翌朝、記者室では内村(海東健)や臼井(渡辺憲吉)らが、「OL殺人」と色めきたつ。瑞穂(仲間由紀恵)は「不謹慎」と怒るが、内村は一向に気にした風もなく悪ぶっている。その時、今村広報室長(近藤芳正)が瑞穂に「捜査一課に行くように」と命じに来た。
瑞穂が呼ばれた理由は、一課にかかってくる情報や苦情を受ける電話番を刑事の代わりにさせるためだった。中学生のいたずら電話、中年女性の怒りの電話・・・・・・ありとあらゆる電話が掛かってくる。加奈子(京野ことみ)や七尾(田中律子)も動員されていた。
聞き込みをしていた耕輔は、事件発生時に不審者を見たという有力な目撃情報を仕入れた。目撃した女子大生は、ぱっと見、女のようで「つん」とくる酸っぱい臭いがしたと言う。その夜の捜査会議で、容疑者を女性まで広げるなど指令が出た。
明けて、耕輔は16年前の事件簿をさらっていた。確かにその年「マジック落書き殺人事件」が発生していた。と、いつの間にか横に佐藤刑事(河原さぶ)が立っている。「担当は俺だった」と言う佐藤。「書かれていたのは『醜』という文字だ」と資料に書かれていない事実を教えてくれる。そこへ尾崎(品川祐)が飛び込んできた。「犯人を知っていると言う人が現れた」。驚く耕輔と佐藤。尾崎は言いにくそうに「問題ありですが・・・・・・」と続けるのだった。
瑞穂は耕輔に呼び出され、共に車中の人となっていた。向かうは犯人を知ると言う「柳邦彦」(六平直政)がいる拘置所であった。柳は6年前逮捕された死刑囚だったのである。柳の供述をもとに似顔絵を作成するのだ。
面会室で柳に対峙する瑞穂。瑞穂は二人きりにしてくれと頼んだが耕輔は捜査を理由に同席する。眼光鋭い柳が無表情に話し始めた。「若い女だ。右のこめかみに傷がある。昔の傷だ・・・・・・」。瑞穂は一心にペンを走らせる。出来上がった似顔絵を見て柳は興奮した。「この女だ、間違いない」。
耕輔は疑り深く柳に問った。「なぜ証言する気になったのか?」。柳は平然と「一つくらい良いことをしようと思った。信じるかしないかは刑事さん次第だ」と言い放ち、耕輔を睨み付けるのだった。
捜査一課の刑事たちは、似顔絵を眺めていた。そこへ鶴田が入ってきた。「被害者は1カ月前、暴行事件で被害届けを出している。相手はこの女だ」と写真を見せる鶴田。一同は絶句した。まさにその写真の女・飯田あゆみ(赤坂七恵)は、柳が話し瑞穂が描いた似顔絵そのものだったのだ。
飯田あゆみは半年前まで被害者と同じ美容院で働いていたが、あゆみの恋人が被害者のもとへ走り、逆恨みしたあゆみが被害者を再三困らせていたのだという。刑事たちの周辺捜査や張り込みが始まった。美容院勤めということで「つん」とくるパーマ液の臭いがする。さらに被害者の携帯にはあゆみからの100件近い着信履歴が確認された。事件の晩のアリバイもない。「三角関係の果ての怨恨殺人か」。刑事たちの心証は固まった。だが、死体に文字を書くことなど解けない疑問は残っていた。
瑞穂はカウンセラーの樋口(余貴美子)に飯田あゆみが犯人であるのか疑問を持っていることを打ち明けた。実は、樋口も疑問を抱き、その朝、柳に面会に行っていたのだ。樋口はあゆみのことより柳に興味があると言い出した。「死刑囚の目じゃない。目に生きようとする意志がある」と言う。瑞穂はその言葉で何か感じた。
瑞穂は勝手にあゆみの美容院へ出かけあゆみにカットを頼んだ。そして「こめかみの傷」のことを探った。それは3歳の時についたという小さな傷であった。
外に出て瑞穂は耕輔たちに捕まった。「邪魔するな」と怒鳴る耕輔に、瑞穂は「あゆみは犯人じゃない。あの傷は、小さすぎて他人が分かるわけがない。柳との関係を調べるべきだ」と進言する。
瑞穂と耕輔は、あゆみが生まれた家を訪ねた。そこは空き家だったが、近所の老人が話してくれた。老人によると「柳が住んでいたのは20年前で、あゆみという3歳くらいの娘がいた。家庭内暴力で母娘は出て行った」と言う。柳とあゆみは親子だったのだ。
「なぜ、父親が娘を殺人犯だと証言するのか」・・・・・・。刑事たちは不思議がった。だが、耕輔だけは冷たく断じた。「捨てられた恨みだ。憎しみが深いから、小さな傷だって覚えているんだ」。その口調の強さに一同はまた驚かされた。実際、柳とあゆみが親子であっても殺人犯でない理由にはならない。
なんと、そこへ、また変質的な女性殺害の一報が飛び込んできた。耕輔たちが現場に急行するとマジックの書き置きなど全く同じ手口である。玄関には通販の荷物が。だが、なんと被害者はまだ生きていた。「救急車!」。叫ぶ耕輔たち。さらに驚くべき情報も飛び込んできた。その犯行時間帯は、あゆみにアリバイがあったのだ。耕輔は、もしや、この犯人は16年前の犯人と同一人物ではないかと疑い始めていた。
この事件を探る内村は、最初の被害者のマンションをもう一度調べに行った。ドアの前に通販の宅配カタログが置いてある。通り掛った主婦に声をかけた。主婦はその通販の宅配業者が感じが悪かったから取るのをやめたと、話してくれた。何かピンとくる内村。署に戻った内村は、瑞穂に「被害者は二人とも同じ通販を取っていた」と耳打ちする。
瑞穂はすぐに捜査一課に上がり耕輔にそのことを伝えた。耕輔もすぐに理解した。
が、被害者が生きていると聞いた瑞穂は、声を上げた。「危ない!」。
被害者が入院する病院を私服の刑事が取り巻いた。被害者の面会謝絶の病室に出入りする看護士は瑞穂である。と、そこへ見知らぬ女性看護士がやって来た。看護士は寝ている被害者の横で注射器をとりだした。「手を離せ!」。暗がりから飛び出してきたのは耕輔。「この野郎」と起き出した被害者は、なんと佐藤だった。耕輔が看護士に飛び掛るとかつらが飛んだ。女ではなく男であった。男はナイフを振り回し戻って来た瑞穂に切りかかる。かばう耕輔の洋服が切り裂かれ、素手で刃を受けとめた耕輔の手から血がしたたる。結局、男は取り押さえられ、「16年待った甲斐があった」と佐藤に手錠を掛けられるのだった。
男は山口(みのすけ)といい、自宅から16年前の事件を示す写真が発見された。山口は、その直後、別件で逮捕されて16年間収監されていた。「つん」とした臭いは写真の定着液だった。山口は女性になりたい願望があり、あこがれ愛しているのに嫌な目に遭わせる女に対し嫉妬と怒りを抱いていたのだ。
また、最初の被害者とあゆみの関係も本当のところは、加害者と被害者が逆だったことが分かった。恋人を奪ったのは被害者の方で、最近冷たくなったその恋人があゆみのもとへ戻ったのではないかと疑った被害者が、あゆみを追い回したのだった。
だが、柳は、なぜ実の娘を犯人と証言したのか? 耕輔と瑞穂は再び柳を訪ねた。瑞穂は「あの似顔絵の主・あゆみさんはあなたの娘さんだったのですね」と問い詰めた。だが、柳は山口が拘置所で一緒だったことは認めたものの「似顔絵は記憶違いかもしれない。あゆみなんて知らない。似顔絵が似ていたとすれば偶然だ」と立ち上がる。
そこへ、耕輔が怒鳴った。「上手く警察を利用したつもりかも知れないが、お前の壊した家族は二度と戻らないんだ。お前に人を愛する資格なんかない」と激昂する。柳は静かに振り向き、「娘に会えるなんて思ったことはない。私は家族が出て行った時に死んでるんだ。ただ、最後にあの子を守り抜くまでは生きるんだと思っただけだ」と答え、瑞穂に「あんたは本物だ。また娘に会えた」と言い残し扉の向こうへ消えていった。帰り道、耕輔と瑞穂は、互いに遠くを見つめるのだった。

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第5話 封印したはずの昔の顔

あらすじ

資産家ばかりを狙った連続強盗事件が続いていた。三人組の黒装束の賊が手際よく侵入し現金や貴金属ばかりを強奪する。被害者の命には別状がなかったが、耕輔(オダギリジョー)たちの緊張はピークに達していた。
そんなころ、瑞穂(仲間由紀恵)は広報誌の特集のため南横浜署の梶間刑事(石橋蓮司)を取材することになった。梶間は県下ナンバー1の検挙数を誇っているのに、所轄を動かず、出世に興味ないが口癖の変人・名物刑事だった。
梶間はよれよれのジャケットを着込んだ、ちょっと見には刑事に見えない強面の中年男だった。瑞穂を無視してズンズン夕刻の横浜の繁華街を歩いて行く。呼び止める瑞穂に「馬鹿か! 制服のお前が声を掛けるな! デカと宣伝してるようなもんだ」と一声恫喝する。さらに通り掛ったチンピラを脅し小遣いを巻き上げる。どうも敏腕刑事の額面だけではなさそうだ。
唖然として梶間を見送る瑞穂が肩を叩かれた。内村(海東健)である。内村は、梶間の黒い癒着など影の部分を追っているのだと言う。
一方、連続強盗捜査で、耕輔は加奈子(京野ことみ)と、尾崎(品川祐)は相田(黒坂真美)とカップルを装い、深夜の高級住宅街を車で巡回していた。物陰にナンバーを隠した不審なワゴン車が停まっている。刑事たちは車を降り張り込みを始めた。
そのころ、瑞穂は梶間と汚い焼肉屋にいた。煙に咽びながら、「あなたは最低の刑事です。癒着できなくなるから本部に上がらないんですね!」と梶間を問い詰める。梶間は「お嬢ちゃんみたいな正義感の塊の嫌な女には、悲しみ苦しみを持った奴は近づかないんだよ。小悪は見逃すものだ」と梶間が言うと「それは妥協だ」と瑞穂も切り返す。梶間は「相手にしているのは、モノじゃなく、どす黒い情念を持った人間なんだ」とピシャリと瑞穂の反論を断った。
ワゴン車が動き出した。耕輔たちは覆面パトで尾行を始めた。一人、しばらく進むとまた一人とワゴンの中から男が降り立つ。二人目の男は偶然、梶間と瑞穂の近くでワゴンを後にした。梶間の携帯に指令が入り、二人はカップルを装って男の尾行を開始した。
ワゴン車が停まり最後の男が降りた。耕輔と加奈子もカップルとなって尾行を始めた。
梶間と瑞穂は二股の道で男を見失った。二人は別々の道に分かれて追う。
一方、耕輔は、振り向いた男に気付かれないように加奈子を抱きしめるが、加奈子は慌てて声を上げてしまう。男はどうやら、二人をカップルと思ったらしく近くのコンビニに入って行った。耕輔は急な対応が取れなかった加奈子を許さず、追加の応援を頼むと、冷たく加奈子を帰署させた。
瑞穂は、反対側で人の争う声を聞いた。走ってその方向へ向かうと、腹を刺されて倒れている梶間が・・・・・・。その前で仁王立ちになっている男が言う。
「青い鳥は、お前の自己満足のためにあるんじゃない!」
男は手にしたナイフでさらに梶間を襲おうとするが瑞穂を見つけ走り去った。梶間は瑞穂に「何も聞いてないよな」と囁き意識を失った。
瑞穂も出席し捜査会議が開かれた。ワゴンの3人組はやはり現場付近で同様手口の押し込み強盗を働いていた。その中で、梶間刑事と梶間を刺した男は、梶間に吐いた捨て台詞から考えても何らかの接点があるに違いないという結論に達し、瑞穂がその男の似顔絵を描くことになった。
鶴田(益岡徹)が梶間が担当した12年前の事件を調べていた。どうもこの事件の火種がくすぶっているのだと鶴田はにらんでいた。そこへ本間課長(升毅)が現れた。本間は珍しく「私は止めないよ」と鶴田を牽制しなかった。
朝までかかって、似顔絵を描き終わった瑞穂と耕輔も、梶間が変節したのは過去の事件に関係があるのではと意見を交わしていた。
鶴田は引っ掛かった梶間の過去の事件を耕輔たちに示した。それは「三友銀行員刺殺事件」である。12年前、三友銀行融資課長が刺殺された。梶間は容疑者の工場主・栗山信吾(持田篤)を調べていたが、栗山はアリバイとして河合代議士(森富士夫)の事務所に選挙の裏金を取り立てに行っていたという。が、河合はそれを一切否定。栗山は逮捕の前日、自殺したのだった。栗山の顔写真は、描き上がったばかりの似顔絵と似ていた・・・・・・。栗山には当時6歳の息子・信一がいた。耕輔は似顔絵の主は成長した信一(反田孝幸)ではないかと睨んだ。
瑞穂が退署しようとした時、内村が声を掛けてきた。ここ4、5年梶間はある暴力団を内偵していた。その暴力団は河合代議士と強い繋がりがあると言うのだ。
耕輔と瑞穂は、事件後、信一が預けられた養護施設へ向かった。施設の入り口に普通の形ではないポストがあった。それは「青い鳥」の形をしていた! 園長の説明によるとそのポストは「親と子をつなぐポスト」だと言う。基本的には子供からの手紙が「投函」されるだけで、それは園長らが子供たちに分からぬように取り出していた。梶間に関しては、信一に会いに来ていたかもしれないが、記憶にはないと言う。さらに園長は、遠い記憶を呼び戻した。信一は、父親が自分の潔白を証明するノートを書いていたと警察で証言したにも関わらず、そのノートが見つからず捜査は栗山に不利なまま進んだというのだ。
園長は、信一が「青い鳥」ポストに投函した手紙を二人に見せながら衝撃の事実を話した。「父親の自殺体を発見したのは信一だったんですよ」。瑞穂は驚いたが、それ以上に耕輔の反応は異常だった。呼吸を荒くしその場を立ち上がったかと思うと、ヨロヨロと外に出、頭を抱えて塀にもたれ掛かる。「大丈夫だ、ほっといてくれ」。耕輔の過去に何があるのか・・・・・・。
帰りながら、瑞穂は推理した。「梶間さんは『青い鳥』ポストで信一君の資金援助をしていたのかも。それがいつか信一君に分かった。信一君はその行為を、父親を自殺に追い込んだ刑事の自己満足と受け取ったのでは・・・・・・」
耕輔は「栗山は他殺だ」と遮った。「6歳の信一がとっさに嘘をつけるわけがない。河合代議士は、栗山のアリバイを認めたら裏金を認めることになり、代議士生命に関わる。栗山との面会など以ての外、栗山もノートも、関係証拠はあってはならないのだ」
瑞穂は、河合と関係する暴力団を梶間が内定していた理由がそこにあると理解した。
耕輔と瑞穂は、信一が働いている「便利屋」に向かった。しばらくして不用品回収から信一が戻って来た。信一はナイフを耕輔に向ける。「ノートのことを聞きに来た」と耕輔。「君の協力が必要なんだ」
「梶間もそう言った。でも何も出来なかった。うそつきばかりだ」
自分の首にナイフを当てる信一を見て、耕輔はとっさに嘘をついた。「梶間は死んだ」
信一はひるんだ。耕輔はナイフを払い落とし、それを瑞穂が拾う。
「梶間さんは12年間悔やみ続けて一人であの事件の捜査を続けているのです。警察は今度こそ真相を究明します。梶間さんの意識が戻ったそうです」と瑞穂。
信一は覚悟を決めた。
その後、捜査は進み、河合代議士は汚職で逮捕された。
瑞穂は、そんなころ、樋口(余貴美子)に養護施設に行ったときの耕輔の様子の急変を話した。樋口は幼児期のどこかに問題があると想像する。瑞穂は、その夕刻、耕輔に自分が信一のように養護施設にいたことを徒然に話す。そんな二人を樋口は陰から眺めているのだった。

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第6話 完全犯罪を狙う犯人の素直な自白・・・

あらすじ

県警の射撃大会が開かれている。満足そうに装備を外したのは加奈子(京野ことみ)であった。加奈子は準優勝を獲得し、瑞穂(仲間由紀恵)や樋口(余貴美子)、七尾(田中律子)らに祝福される。そんな加奈子だが、「もっとやり甲斐のある仕事をしたい」という、自らの将来や夢を思うと浮かれた気持ちではいられなかった。
そんな折、管内で殺人事件が発生した。暴力団組員・山根(平井賢治)がナイフで殺害され、凶器の登山ナイフがダム建設予定地で発見されたのだ。山根はダム建設にからむ建設会社と繋がりがあり、建設反対派の高校教師・望月(宮本大誠)が重要参考人として浮かんだ。だが、その一つ一つの事実が内村(海東健)のいる東都日報のスクープで明らかになっていた。
耕輔(オダギリジョー)が所属する捜査一課では東都の連続スクープに業を煮やし、鶴田(益岡徹)、亀田(矢島健一)両班の携帯発信記録などを調べ、内部情報リーク者を洗い出しに掛かったが、内村に繋がる線は見つからない。広報課でも東都の特種は問題になり、今村課長(近藤芳正)は瑞穂に内村のマークを命じた。
そんな朝、加奈子は突然、一課への異動を命じられた。瑞穂の激励を受け、喜びと不安を胸に一課に向かう加奈子だった。
亀田班に取り調べを受けている望月は、結局犯行を自供した。ダム建設反対派の中心である望月は、「再三、山根から嫌がらせを受け、妻は精神的ダメージから入院した。嫌がらせを止めさせる話し合いをしようと山根に会った。口論になり、護身用の登山ナイフを出したら偶然、山根に刺さった。殺すつもりはなかった。ナイフはあとでダム予定地に捨てた」と言うのである。
ナイフから山根と同じ血液型の反応が出るなど、裏付けも取れ、亀田も本間課長(升毅)も満足気であった。そんな時、加奈子が一課に配属された。本間に紹介され挨拶する加奈子だが、刑事は全員無視。班長・鶴田は「電話番でもしとけ」とつれない。
記者室では、新顔の地方紙の記者・マキ(松本莉緒)が内村と親し気に話していた。ブランドに身を固め、華やかな容貌で、記者には見えないタイプ。「君みたいな美人と働けて嬉しいよ」と内村。「私、今よりもっと大きな会社に移りたい。そのためなら何でもやりますから」と意味深に答えるマキ。内村も「では、もう少し君の実力を見てみないとね」とニヤリと笑うのだった。
女子トイレで瑞穂や加奈子がおしゃべりしていると、男子トイレの耕輔や尾崎(品川祐)の話が筒抜けである。きちんと独立していないのだ。そこへマキが入ってきた。マキが珍しい香りの香水をつける。瑞穂が銘柄を尋ねると「個人調合の自分だけの香り」だと言う。ふと思い立ち、瑞穂はマキにあることを頼んだ。トイレから出ると、瑞穂たちと耕輔たちが出くわした。マキは持ち前の妖艶さで耕輔たちに食事など迫る。大喜びの尾崎や「違うな」と婦人警官たちに視線を運ぶ耕輔に、ムッとする瑞穂たちであった。
その夜、こぎれいなカフェに瑞穂、内村、マキが座っていた。瑞穂はマキに内村の夜の予定を取り持つように頼んだのだ。だが、マキは気を利かしてか中座してしまった。瑞穂と内村は、バーに場所を移し、午前2時過ぎまで一緒に過ごすのだった。
その夜、望月の車のタイヤから凶器発見現場と同じ土が見つかり、刑事たちは、望月の送検を確信していた。ところが、翌朝の東都の朝刊に、まさにその事実がスクープされているではないか。内村は朝刊締切時間まで瑞穂と一緒だったので送稿出来る訳がない。一体誰が記事を書いているのか……。
そんな忙しい最中、加奈子は一課のコピー取りやお茶入れに追われていた。一体何のために一課に来たのか……。加奈子に無力感が広がり、瑞穂にも冷たく当たる始末である。この晩も内村を見張り続け、締切時間まで内村が送稿しないのを確認した瑞穂が、広報課で一人考え込んでいると、深夜だというのにマキがやって来た。「瑞穂さんは出世欲はないの? 本音隠して生きて疲れない? 欲しいものはどんなことがあっても手に入れるべきよ」と見透かしたようなことを言い、去って行くのであった。
望月の最後の調書にサインさせ安堵した刑事たち。だが、勾留期限となる翌朝、大変なことが持ち上がった。望月が犯行をすべて否定したのだ。これでは送検できない。一課に緊張が走る。鶴田が言う。「勾留前に東都日報がこれだけ事実を書き立てた。望月は自供の内容は新聞から得た話で、犯人だけが知り得る事実ではない、自白強要だと突っぱねる気だ」。送検は諦めざるを得ず、望月は釈放された。
なんとその日の東都の夕刊に「望月釈放」の特ダネが踊っている。一課はさらに刑事たちを調べ上げたが、全く内村に繋がる事柄は出てこない。刑事たちは「素人」の加奈子に疑いの目を向けることに。
まさにそんな折、内村と加奈子のツーショットの写真がメールで刑事部屋に送られてきた。送り先は記者室のパソコンである。加奈子は直ちに内村との関係を聴取されることになった。
瑞穂は事後処理のため本間一課長と同行し、公用車で望月の家へ向かった。待っていると、望月の息子がやって来た。玩具をたくさん持っている。「お父さんが買ってくれたの?」と瑞穂が尋ねると息子は「こんな黒い大きな車でいつも来ていたおじちゃん」と答える。瑞穂はつい、ペンを取り出し、その「おじちゃん」の似顔絵を書き出すのであった。
本部に戻ると、加奈子が瑞穂に突っかかってきた。「内村さんのこと話したのあなたね。私が情報リーク犯にされているのよ。羨ましかったの?悔しかったの?嫉妬なの?」。畳み掛ける加奈子。瑞穂は戸惑うばかりであった。そこへ耕輔がやって来た。瑞穂は望月の子供が玩具を貰っていた「おじちゃん」の似顔絵を見せた。耕輔の表情が変わった。それは殺された山根であった。二人は望月と山根が金で繋がった「友好的」な関係であったと推理した。
そんな頃、加奈子は樋口に「辞めたい」と弱気な相談をしていた。樋口は「止めないわ。ただ自分を信じ、自分を見失わないでね」とアドバイスするだけであった。加奈子は目が開かれたような気がした。
刑事たちは再び望月の裏を調べ始めた。耕輔たちの想像通り、望月はダム反対派に裏金を回していた。耕輔や瑞穂は再度望月の家を訪ねることにした。当然、不満気な望月。と、台所で子供が皿を割ってしまい、瑞穂が台所へ入った。妻が入院中とは信じられないほど片付いた台所に驚く。そこに掛けられたエプロンから、瑞穂の記憶を蘇らせる香りが漂ってくる……。
瑞穂たちは、望月が釈放になることを狙って、事件情報を新聞に早め早めに載せ、期限切れ寸前、最後に逆転しようとしたと推理した。だが、内村でなければ誰がそれを手伝ったのか。瑞穂はそれがある女であることを確信していた。だが、その方法が分からない。と、仲直りした加奈子が言った。「あそこに違いない!」
その深夜、男子トイレで、刑事たちが話している。「真犯人が見つかってよかったな」。その話は、すぐに記者室のパソコンから東都日報に送稿された……。
翌朝、望月の家にマキが走って来る。手にした東都日報には「真犯人見つかる」ではなく「望月真犯人」の記事が載っている。玄関脇に耕輔たちに囲まれた望月がいるではないか。「もうだめだ、マキ」と望月。マキは刑事たちに「どうして分かったの?」と詰問する。瑞穂が言う。「あなたが残した香りよ。あなたは女子トイレで刑事たちの話す情報を仕入れたのね」。マキは悪びれた様子もなく「あんな絶好の場所はなかったわ」。そこへ内村もやって来た。「これまでは、君の書いた特ダネ原稿を僕の手柄にしてくれておいしかった。今度の原稿は編集長のアドレス変えたから送られていないのさ。ツメが甘いね」
望月とマキは高校の師弟関係で恋人関係に発展した仲であった。瑞穂は「これがあなたの欲しいものだったのですか。手に入れたんですか」と問いただす。加奈子も「自分を見失ってはおしまいよ」と諭す。マキは何か悟ったようにうな垂れた。
一件落着し、瑞穂は耕輔にマキのことを尋ねた。「人間の関係を信じる方がどうかしている」と耕輔。瑞穂は「裏切られても信じるのが人間なんです」と、何か秘めるように応じるのだった。

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第7話 愛する者たちを引き裂く一発の銃弾

あらすじ

拳銃の特別鍛錬を終え、拳銃を携えた加奈子(京野ことみ)は、夕暮れの街を自転車で本部へ向かっていた。ある倉庫街に差し掛かると、道路に紐を渡した罠が仕掛けてある。寸でのところで停まり、辺りを警戒すると、路地に怪しい人影が。加奈子は本部に「職務質問します」と連絡した瞬間、加奈子は安堵した。それは制服姿の警官だったのだ。だが・・・。
その頃、瑞穂(仲間由紀恵)は、広報誌に載せた本部長の奥さんの写真が前妻のもので今村室長(近藤芳正)に大目玉を食らっていた。1冊回収されておらず、それを探し出せと今村は言う。そこへ内村(海東健)が現れ「僕が見つけたんだ。謝礼なんかないの?」と厚かましいことを聞いてくる。と、その時、青ざめた顔で七尾(田中律子)が飛び込んできた。「加奈子さんが襲われ、銃を奪われた!!」
加奈子は鉄パイプのようなもので10回以上も殴られており、意識不明の重体であった。銃の安全装置が外されたあとがあり、発砲の用意をした直後に襲われたようだ。耕輔(オダギリジョー)らの捜査が始まった。刑事たちに緊張が走る。
翌朝、瑞穂は一課に応援を命じられた。加奈子の代わりに指名されたのだ。鶴田(益岡徹)に、いかにも古参といった箕田刑事(佐野史郎)と組まされることになった。まずは、靴跡から割り出された靴の販売ルートを追うことから二人は捜査を始めた
ある量販店で聞き込みをやっていると、瑞穂は万引き少年を見つけてしまった。「待ちなさい」と店外へ追い始める瑞穂。本部に帰るや否や、瑞穂は箕田から「捜査は時間の勝負だ。正義感の自己満足より仕事を優先させろ」と、烈火の如く大目玉を食らう。「少年犯罪は大きなことです。小さければ見逃せということですか」と口答えするが、箕田は「だから女は使えねえ」と言い捨てる。
瑞穂は夜になって、犯行現場に向かった。特錬に向かう直前の明るい加奈子の姿を思い出し、辛くなる瑞穂。と、後ろから耕輔が声を掛けてきた。「油断するな。一課に来たら一時的でも今は刑事だ」と耕輔は注意を促す。二人は、加奈子が犯人をなぜ撃たなかったのか思いを巡らす。「相手が素早かったからか、撃てない理由があったからか・・・」。と、加奈子は現場を見通した先に駐車場があるのに気付いた。「きっとあそこに人がいたんです。だから撃てなかった。目撃者が見つかります」。瑞穂は勇んだ。
目撃者探しが始まった。近くの学童保育所に通う園児が「僕見たよ。男と女の人が喧嘩していた」と言う。瑞穂は真剣に子供の言う「男」の似顔絵を描き始めた。
その似顔絵は大々的にマスコミで流され、県警には多くの情報が寄せられた。事件は一気に進展するかと思われた。何人もの男が園児の面通しに同行させられたが、園児はなかなか特定できず、刑事や母親を悩ませる。そこへ木崎刑事(御子柴哲郎)が亀田(矢島健一)に漫画雑誌を差し出した。驚く亀田は、雑誌を開いて園児を問い詰めた。「ボクの見た人はこの人じゃないか」。似顔絵そっくりの変身ヒーローが載っているのだ。瑞穂も含め絶句する刑事たち。園児は泣きながら言う。「ママと一緒にいられるから、嘘ついたんだ」。以前の失敗と同じ轍を踏んでしまった瑞穂・・・。「これ以上素人に付き合えるか。どれだけ無駄をしたと思ってるんだ」。怒り狂う亀田。鶴田は「可能性は調べるもんだ」と庇うが、怒っているのは変わらなかった。また落ち込む瑞穂だった。
その夜、樋口(余貴美子)が、加奈子が快方に向かっていることを瑞穂に教えに来た。落ち込む瑞穂を樋口は慰めるが、瑞穂は「あの子の気持ちが分かるんです。私も独りぼっちだから」と思い詰めた表情で話すのだった。
本部に戻って始末書を書いていると、箕田が食事を誘ってきた。箕田は「何もしない奴は失敗もない。何かに向かう方が見所はあるんだ」と仏頂面で慰める。箕田に、瑞穂は好感を持った。
箕田と別れ、本部に戻る途中、古美術店のショーウィンドウに飾ってある「古井戸を覗き込む女」という題の油絵に、瑞穂は引き込まれた。店に飛び込むと店主の山城(宇梶剛士)が「閉店だが気に入ったのなら見ていい」と絵を下ろしてきた。と、その時、七尾から携帯に電話が入った。瑞穂が「七尾・・・」という名前を口に出して切ると、山城は「あんた警察か」と尋ねる。「七尾は俺の後輩だ」。なんと山城は以前、鑑識で似顔絵を描いていたのだ。「なぜ辞めたんですか」という問いに山城は答えず、逆に「なぜこの絵が気に入ったのか」と聞いてきた。瑞穂は答えた。「ここに書いてある言葉が・・・」。そこには「MIZUHO 1980」とあった。そして寮に帰った瑞穂は、鏡に向かって自分の顔を描こうとした。だが、全くできなかった。描線を掻き消すだけであった。
翌朝、瑞穂は樋口に「画家が自分以外の名を絵に描く心理は」と尋ねた。樋口は「単純に考えるなら、その絵の女性の名じゃない」と答える。納得する瑞穂。と樋口の電話が鳴った。「え、加奈子さんの意識が戻った!?」
病室の加奈子に刑事たちの聴取が始まった。再び瑞穂の似顔絵の出番である。警官という供述だけでも驚きが走ったのに、「どんな男?」という問いに対する「女よ」という答えは一同をさらに驚愕させた。身長175センチ、ショートヘアの丸顔の女の似顔絵は、再度マスコミに流された。
そんな朝、瑞穂に山城から「あの絵の買い手が出た。作者の身内らしい」と連絡が入った。瑞穂は「引き取りの時見に行っていいか」と懇願した。予定の時間に店に行くと山城はいない。だが、一人の女性・篠原房子(大塚良重)が絵の前に座っている。房子は、兄の親友の絵なのだと言う。画家を志したその親友は80年に交通事故で亡くなり、兄も昨年病死したが、その絵が写った写真があり、つい目に留まったのだと言う。その写真には「茜」という女性が写っていた。瑞穂は、その絵、作者、そして茜という女性に、大きく心動かされるのだった。瑞穂は80年、生後間もなく教会の前で保護され、以後、その教会の施設で18歳まで育ったのだ。
箕田と瑞穂は、警察グッズを扱う店に聞き込みに出かけた。店員の芥川(内浦純一)は、似顔絵を見て一度来たことがあると言う。署に戻ると、どこからか電話を受けた箕田が「急用だ」とそそくさと帰る。と、鶴田が飛び込んできて大声を出す。「容疑者判明。鈴木真寿美。住所不定無職」
瑞穂は芥川が真寿美に繋がるのではないかと、店の前に張り込んだ。が、そこへ耕輔がやって来た。以前からマークしていたのだ。二人は外へ現れた芥川の尾行を始めた。と、瑞穂の携帯が鳴ってしまった。逃げる芥川、追う耕輔。が、芥川は、耕輔を撒いたか、再び瑞穂の前に現れた。瑞穂は一人で追い始めた。
人気のない道に来た時、芥川は改造銃を手に振り向いた。そこへ耕輔が追いついた。銃で威嚇する耕輔に向かって芥川は改造銃を発射した・・・。

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第8話 運命の再会

あらすじ

瑞穂(仲間由紀恵)と耕輔(オダギリジョー)に追い詰められた警察グッズショップの店員・芥川(内浦純一)は、突然怯えたように銃口を耕輔たちに向け発射した。耕輔は瑞穂を庇い、二発目の弾で肩を撃ち抜かれ階段を転がり落ちて動かなくなった。芥川はそのまま逃走した。
耕輔は命に別状はなかったものの意識が戻らず、刑事部では加奈子、耕輔と相次いで警官が犠牲になったことで、緊張は極限に達していた。包帯姿の加奈子(京野ことみ)は、「今度のことでやりたいことは今すぐやらなきゃ、後回しは後悔するって実感した」と瑞穂に語る。瑞穂はその言葉が堪えるのだった。
内村(海東健)の情報によると、芥川は警察マニアの中でも有名な売人で何でも手に入れる男であるという。また、真寿美(石橋けい)は、行動・生活すべてが男性スタイルの、自分のことを男だと思っているタイプだと樋口(余貴美子)にプロファイリングされた。
聞き込みを終え、瑞穂は、「古井戸を覗き込む女」を売っていた古美術店の前を通り掛った。その絵はまだ飾ってあり、不審に思った瑞穂は、中に声をかけた。店長の山城(宇梶剛士)が「買いに来た篠原さんがあんたへ、って」と怪訝に言う。「この絵を描いたのは父かもしれない」と瑞穂が応じる。瑞穂は、驚いている山城に警察を辞めた理由を続けて尋ねた。「人間の裏側ばかりを見るのが嫌になったんだ」と山城。と、山城は「これも渡してくれと頼まれた」と、「古井戸」のモデルの女性が写った写真を瑞穂に渡した。瑞穂は房子(大塚良重)の気持ちに感謝した。
瑞穂はその足で、自分が育った教会へ向かった。かつて世話になったシスター(銀粉蝶)に、その写真を見せた。「三浦茜さん……。教会の信者です」。驚くシスターに、瑞穂は房子から聞いた茜や茜の恋人の絵にMIZUHOの名前があることなどを話した。そして「この人は私の母では」と問い質した。シスターは意を決したように答えた。「あなたのお母様です」。
シスターは瑞穂の出自を語った。茜は恋人を亡くし自分の余命もないと知り、悩んだ末に瑞穂を教会に預け、自分はその日に心臓発作でなくなったのだという。「茜さんは心からあなたを愛していた」。瑞穂はマリア像に向かって「お母さん」と呼びかけ喜びの涙を流すのだった。
昏睡する耕輔は、8歳のある日のことを夢で思い出していた。家に帰ると母親が不自然にもがいていて……。耕輔の意識が戻り始めた。
一方、捜査一課では、西島を撃った銃は、芥川の改造銃ではなく、警察正式の別の銃であることが分かった。拳銃を加奈子から奪って逃走している真寿美が撃ったのではないかと推理された。その時、真寿美の目撃証言が入った。あるコンビニにいつも来ているという。居住地区の捜査が始まった。
西地区捜査を命じられた箕田(佐野史郎)と瑞穂だったが、箕田は「潜伏するなら東地区だ。嫌なら降りろ」と強引に東地区に車を向ける。瑞穂は耕輔のことを思い出し、箕田について行くことにした。車から降りると箕田が先に走る。それを追う瑞穂の先で銃声がした。あるアパートの玄関口に箕田がいる。踏み込むと部屋には警察グッズが散乱している。制服制帽もハンガーに掛かっている。真寿美に違いない。「応援を」と言う瑞穂を無視し箕田は窓から飛び降りさらに追う。瑞穂もついて行こうとしたが、暗い廃車場を見つけ、何か確信し、銃を抜いてそちらへ向かった。「誰かいるの。出てきなさい」と呼ばわる。と、「何だ女かよ」と真寿美が姿を現した。拳銃を構えている。「安全ゴムがついたままだぜ。だから女は駄目なんだ」とさげすんだように言い、瑞穂が帯同している拳銃を指して、「S&W寄越せよ」と脅す。断る瑞穂に「あの婦警もそう言ったんで痛い目にあわせた」と笑う。瑞穂はその隙を見て安全ゴムを外した。その途端、真寿美も引き金を引いた。瑞穂の肩に命中する。さらに狂ったように襲い掛かる真寿美。銃声が鳴る。悲鳴が上がり瑞穂が目を開ける。なんと真寿美が胸から血を噴き出して倒れている。「大丈夫か」。撃ったのは箕田であった。瑞穂は気を失った。
幸い瑞穂の傷は軽く、数日して瑞穂は耕輔を見舞った。そこへ樋口も現れた。瑞穂は両親のことが分かったことを伝え、「私自身にも会えた」と微笑んだ。
本部に出勤すると海老沢監察官(山崎一)に呼び出された。海老沢は、命令違反事項などを問い質した後、「箕田は真寿美に発砲する前に警告したか」と念を押してきた。瑞穂は「覚えていない」と答えるに留めた。
そんな朝、箕田の同期の装備課係長・土田が自殺した。
さらに芥川の潜伏先が割れ、芥川が逮捕された。
内村が真寿美の部屋の写真が載った新聞を手に瑞穂に話し掛けてきた。土田自殺の真相を知りたいようである。が、その写真を見た瑞穂は内村から新聞を取り上げ去って行く。
新聞を見ながら、瑞穂は加奈子に疑念を突きつけた。「写真に制服制帽が写っていない」。「誰かが外したってこと!?」と察した加奈子は「実は、土田係長が芥川と通じていたらしい」と教える。さらに「西島さんを撃ったのは真寿美じゃない。別の拳銃よ」。瑞穂は気がついた。「芥川は私と西島さんの後ろにいた人物に向けて発砲したんだわ。そしてその人物が西島さんを撃った……」。瑞穂は海老沢監察官の「箕田は警告したか」という言葉を思い出した。
瑞穂は箕田の家を訪ねた。「現場から制服制帽を盗めるのは私か箕田さんだけです」と切り出す瑞穂。「あの制服は本物だった。警官との直接売買だった。だから土田さんは自殺し、真寿美は口封じで殺された」と推理を述べると箕田は強張った。「あなたは、私と西島さんが後をつけていることを芥川に知らせるために、私の携帯を鳴らした。そして、彼の口封じのため発砲したけど、それが西島さんに当たった……」
箕田はそこまで聞くと「誰かに話したか」と尋ねる。瑞穂が否定した瞬間、箕田は瑞穂の首に手をかけた。抵抗しない瑞穂。箕田は手を離し「なぜ逃げない」と訝しむ。瑞穂は「わかりません。でも警察官には命令の受忍義務がありますから」と箕田を見つめる。「自分と向き合う勇気を持ってください」。箕田は「終わったな」と宙を見つめた。
数日後、今村広報課長(近藤芳正)は、自分の資料の中から探していた広報誌が見つかり一安心。そんな長閑な昼に、瑞穂はスケッチブックに自画像を描いていた。背後から退院した耕輔がやって来た。
「前に、西島さんに、あなたが顔のかけない人の二人目だと言ったでしょう。一人目は私なんです。本当の自分を見つめ、愛せることで描けるようになったんです」と微笑む瑞穂。「西島さんはもう少し掛かります」とおどける。
笑顔の耕輔はその場を離れた瞬間、8歳の時の記憶がフラッシュバックした。足をばたつかせる母親に馬乗りになり首を絞めている男は……。

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第9話 操られた記憶

あらすじ

瑞穂(仲間由紀恵)や加奈子(京野ことみ)たちは、連続通り魔事件の目撃情報を呼びかけるチラシを街頭で配っていた。そのチラシから埠頭の荷役係・園田(浜田道彦)が捜査線に浮かんだ。耕輔(オダギリジョー)と尾崎(品川祐)が埠頭へ向かう。園田は、耕輔が警察手帳を見せながら声をかけると、顔色を変えて逃げ出した。追う二人の刑事。耕輔が捕まえると園田は激しく抵抗する。と、その時、耕輔の脳裏に、首を絞められる母親の記憶が蘇った。人が変わったように園田を殴りつける耕輔。「やめろ!」。鶴田(益岡徹)に腕をつかまれ、耕輔はやっと正気を取り戻すのだった。
調べが進み、園田は、8件の事件を自供した。だが、ピアニスト・白川恵津子(長内美那子)の事件だけは頑なに否認を続けた。状況証拠は園田に不利であったが、刑事たちは、訝しがった。
そんなころ、耕輔は樋口(余貴美子)のカウンセリングを受けていた。「心を開いて昔のことを話して。そうしないと助けてあげられない」と言う樋口に、「助けてくれと頼んでない」と耕輔は席を立つのであった。樋口は、上司の鶴田に、耕輔をしばらく一線から外すように進言した。鶴田はそれに従い、耕輔に書類作成など内勤を命じた。
園田が自供しない事件の被害者・白川恵津子は、命は無事であったが、外傷性健忘症で自宅療養中であった。だが、記憶が戻ってきているとの連絡が入り、捜査一課は騒然となった。もし、犯人の顔を思い出し、それが園田であれば、すべて解決だからである。白川のケアを続けていた樋口は、3週間ほど前は、息子の顔も判別できなかったはずだと思い、どこか疑念が残る。鶴田は、犯人の顔を思い出せるほど回復しているならば、と、樋口に瑞穂を同行させ、似顔絵を描かせることにした。
記者室では、内村(海東健)が「園田、残りの一件も自供」という予定稿を書いている。とそこへ、先日亡くなった先輩記者・及川の妻・道子(松永麻里)から「渡したいものがある」と電話が入った。
樋口、瑞穂と佐藤(河原さぶ)は、白川宅に着いた。自宅でピアノ教師もしていたのだが看板も外されている。ベルを押すと、若い女の声。玄関に現れたのは竹内さえ(真木よう子)であった。「弦ちゃんも弦ママも中にいます」といかにも軽い感じの女であった。
恵津子は車椅子に座り、覚束ないながらも樋口に挨拶した。「本当に言葉が出始めたのね」と驚く樋口。横に座る息子の弦(鳥羽潤)。弦は、集中治療室から出た恵津子を、数カ月にわたり、親身になって介抱し続けていたのだ。樋口は「頑張ったわね弦君」と素直に弦を褒めた。
恵津子に対する樋口の聴取が始まった。一同は場所を移したが、瑞穂は部屋にピアノがないことに気が付いた。弦が「処分しました」と言う。「母がピアノを怖がりましたので。弾けないピアノを見るのが怖かったのでは」。さえが「だからって弦ちゃんまで音楽をやめることないのにね」と瑞穂に同意を求める。と、その時、恵津子が樋口に言った。「犯人の顔を見ました」。瑞穂が呼ばれた。恵津子の記憶のままにペンを走らす瑞穂。その顔は、園田であった。
鶴田は、その出来すぎた似顔絵に、不信感を持った。「何か気が付かなかったか」と瑞穂に問う。瑞穂は「白川さんの記憶は、熱気がなくて平板でした」と答える。さらに鶴田は樋口にも尋ねた。樋口は「園田の写真はすでに公開されています。それを見た記憶に基づく証言であることも否定できません」と言う。鶴田は「では、誰かが、例えば看護の過程で写真を見せて記憶を作り上げることも可能ということですか」と畳み掛ける。樋口は「記憶の刷り込みも不可能とは言い切れません」と説明する。
樋口と瑞穂に席を外させた鶴田は尾崎にさえのことを聞いた。さえは、弦がスタジオで知り合ったウエイトレスで、二人の交際に恵津子は不満であったとの証言が取れていた。だが、如何せん、弦には、その日レコーディング中というアリバイがあった。弦は、クラシックピアノの英才教育を受け、ポップスの世界では重宝されていたのだ。事件後も献身的な看護を続けたため捜査線からは外れていたのだ。
内村は及川道子に会った。道子は、及川の遺品を整理していたら、こんなものが見つかったと、及川の書いた予定稿を差し出した。そこには「ピアニスト殴打事件 犯人は息子」とある。恵津子を殴ったのは弦だというのか・・・。内村は残りの資料にも目を通した。「白川弦のアリバイ、レコーディング、譜面を確認」という手書きのメモに、内村は注目した。
そんなころ、樋口と瑞穂が恵津子のことで話していた。樋口は「心理テストの回答にぶれが無さ過ぎる。緻密で完璧で別の性格を演じようとしている」と疑念をぶつける。瑞穂も「どんなに嫌になっても、私は絵の道具を捨てない。ピアノを処分するのは不自然」と疑問を吐露する。
一方、内村は、弦のアリバイであるスタジオを訪ね、その時弦が使った譜面を見せてくれと頼んでいた。また、耕輔もその時、弦が制作したアルバムを眺め回していた。と、CDのスタッフや演奏家のクレジット個所で、9曲目だけ、弦がピアノを弾いていないことに気が付いた。
瑞穂は、弦がピアノを処分したと言う楽器店を訪ねた。店長は「恵津子さんはピアノから一日たりとて離れることがなかった。処分と聞いて耳を疑った」と今更のように驚きを語る。「恵津子さんは弦さんを育てることに没頭した。だから、弦さんがクラシックを捨てた時の落胆振りは凄まじかった。でも、弦さんもかわいそうだった。10歳で全国大会で優勝したが、母親が偉大過ぎて如何せん超えられない壁ですから」と親子の関係を話してくれた。優勝ならトロフィーがある。だが、白川家のどこにもトロフィーはなかった。瑞穂は、何かが読めた気がした。
瑞穂が急いで本部に帰ると内村が待ち受けていた。封筒を手渡し「これで弦のアリバイが崩せるかもしれない」と言う。二人は一課に飛び込んだ。
「弦の書いた譜面です」
事件当日書いた9曲目の譜面は、ほかとは全く違った殴り書きであった。内村が言う。「この譜面を書いている時、誰も弦の姿を見ていない」。さらに耕輔が言う。「この曲だけ、弦はピアノを弾いていない」。樋口もやって来た。「恵津子さんの回復が、園田の逮捕と符丁が合い過ぎている」。緊張する捜査一課。と、そこへ恵津子が発作を起こして入院したという知らせが飛び込んだ。
病室で寝ている恵津子の傍らに弦が佇んでいる。樋口が弦の腕をつかみ「何があったの」と問い質す。さらに耕輔が譜面とCDを見せ「なぜ9曲目を弾かなかった」と続ける。弦は観念したように頷いた。
恵津子が目を覚ました。樋口が言う。「恵津子さんはあなたを庇うためにお芝居していたのよ」
恵津子は狂乱した。だが、弦は微笑んで言う。「この半年間、幸せだった。それまで二人はずっとピアノに邪魔されてきたもの」。恵津子は、弦の気持ちを知り、愕然とした。弦は続けた。「あの日、レコーディング中に、母にボストンフィルのオーディションを受けるように呼び出された。才能を無駄にするなとののしられ、突きつけられた優勝トロフィーで母を殴りつけた・・・。スタジオに帰ったら手が痺れてピアノが弾けない。だから別の人を頼んだ」と事件の経過を供述するのだった。
これまで出頭しなかったのは「母が一人になってしまうから」と弦。恵津子も、自分が回復したのが分かると出頭するかもしれないと案じ、記憶の消えた振りをしていたのだ。
そんな母子の愛情劇を見ていた耕輔の心に、葛藤が起きた。が、その葛藤を振り切るように「弦、殺人未遂だ」と厳しく言い切った。だが、恵津子が叫ぶ「違います。本当の犯人は私です」。耕輔は無言にならざるを得なかった。
翌朝の東都日報朝刊の「ピアニスト殴打事件解決」の記事は「及川」の署名であった。内村が特ダネを亡くなった先輩に捧げたのだ。
瑞穂は、再び白川家を訪ねた。と、居間にはアップライトピアノが帰って来ていた。「楽しむためのピアノです」。瑞穂はこれをどうぞと楽譜を渡した。「弦さんから預かってきました」。子供用の教則本である。「会える日までこれで練習していて、と」。恵津子は笑顔でそれを受け取った。
瑞穂が本部へ戻ると、樋口が言う。「恵津子さんを回復させたのは、弦君の母を強く思う気持ちだった。愛は奇跡を呼ぶ。今、必要としている人がいる。それが出来るのはあなたよ」。瑞穂は耕輔のことを思うのだった。

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第10話 19年前の真相を知る者

あらすじ

豪華な調度の部屋で金庫を漁る男。デザインされたゴージャスなエメラルドのネックレスなどをかばんに詰め込む。そこへ、その部屋の主・中村雅子(菅原あき)が帰って来た。男は、逃げ出そうとする雅子を捕まえ、馬乗りになり首を絞める。右手は手袋。左手は義手である。もがき苦しみ息絶える雅子。男はかばんを持ち素早く部屋を出て行く。反対側のドアが開いた。そこには、母親が殺される一部始終を見て立ちすくむ8歳の娘・アヤナ(望月瑛蘭)がいた。
そのころ、瑞穂(仲間由紀恵)は、施設時代からの親友・菅田ミカ(小橋めぐみ)とその恋人・林直哉(横塚進之介)とレストランにいた。ミカと直哉は間もなく結婚し、幸せいっぱいの二人から式の招待状を渡されたのだ。その時、七尾(田中律子)からの携帯架電が入った。雅子の強殺事件が発覚したのだ。
鶴田(益岡徹)班や亀田(矢島健一)班の刑事たちが中村家に揃う。雅子はアヤナと二人暮らしで宝石商を営んでいた。金庫のエメラルドのネックレスなどが盗まれたことが家政婦の証言や写真などから分かった。アヤナは犯人を目撃したとして、瑞穂の似顔絵描きが要求されたのだ。だが、そんなアヤナの状況を聞くにつれ、耕輔(オダギリジョー)は、現場で動揺を始めた。息遣いが荒くなり、昂ぶる感情を抑えている。耕輔の様子を見た尾崎(品川祐)は心配するが、鶴田、佐藤(河原さぶ)は、怪訝な思いに駆られる。
アヤナの病室で樋口(余貴美子)主導のもと、加奈子(京野ことみ)・七尾が見守る中、瑞穂の似顔絵描きが始まろうとしていた。樋口や七尾が優しく接するが、アヤナは反応を示さない。ショックで声が出なくなったのだ。
亀田は、どうにかして似顔絵かモンタージュを取れと強硬な姿勢を見せる。樋口は「そんなことをしたら一生心の傷が残る」と反対する。と言った瞬間、樋口は耕輔の存在に気が付き、緊張した。耕輔は亀田に絡みつく。怒る亀田は鶴田に「いつか、こいつに足を引っ張られるぞ」と捨て台詞を残し去って行く。樋口も鶴田に耕輔を「事件から外せ」と進言するが鶴田は「それほど柔じゃない」と聞こうとしない。
樋口はアヤナのために乳児用の縫いぐるみを持って来させた。アヤナはそれを抱き、指をしゃぶり始める。ショックによる退行現象の出現である。誰もいなくなったアヤナの病室に耕輔がやって来た。落ちた縫いぐるみを拾ってやりアヤナを見つめる。そこへ瑞穂が入って来た。耕輔にアヤナの様子を説明していると、内村(海東健)が押し入って来た。「この子が母親が殺されるところを見たの?」と、無礼にも写真を撮り始める。耕輔が反応した。腕を捻り上げ内村を押し出し「二度と近づくな」と内村を脅す。その様子は殺気すら含んでいた。
耕輔はしょうがなく樋口のカウンセリングを受けた。樋口は、19年前の母親が殺された事件のことを話さない限りトラウマは解決されない、と、耕輔に迫る。だが、耕輔は「時間の無駄だ」と相変わらず心を開こうとしない。しかし、外に出た耕輔は、8歳の自分から「人殺し!」と責められる幻想を見る。
無力感に苛まれながら帰宅した樋口は、見知らぬ小包が届いているのを見つけた。慎重に開けると、そこには豪華なエメラルドのネックレスが…。盗まれた雅子のものである。恐怖に陥る樋口。直ちに刑事たちが招集された。
そのころ、休みを取った瑞穂は、ミカの新居を訪れていた。楽しいひと時を過ごし、いとますると、携帯を忘れたのに気付いた。すぐに取って返すと、ミカの顔に傷が…。直哉のドメスティック・バイオレンスと直感した瑞穂が病院へ行こうと促すと直哉と争いになり、今度は瑞穂が怪我をしてしまった。
本部は警察関係者に同時に起こった事件で騒然となった。瑞穂が取調室の前にいると、直哉が連行されて来た。と、つかつかと歩み寄る耕輔。いきなり直哉を殴り出す。同行してきたミカが「止めて!」と叫ぶ。耕輔を抑えようと亀田班が囲むが、耕輔のパンチが亀田にヒットする。放心する耕輔。そんな阿鼻叫喚を内村が陰から見つめていた。翌朝の東都日報にその騒ぎが載ったのは言うまでもない。耕輔は、鶴田の命令で事件の捜査から外された。
再び、同様手口の強殺未遂事件が発生した。刑事部での会議が開かれる。佐藤が声を上げた。「19年前の事件と同様手口だ」。時効となった耕輔の母親の事件である。左手が義手であることも判明した。耕輔は、捜査に戻してくれと鶴田に直訴した。鶴田は「母親の犯人に対する憎しみから生まれた復讐心を、他の事件で晴らしている」と喝破し、許さない姿勢を見せるが、耕輔は「クビになっても離れません。でないと俺の中の事件が終わらない」と強引に捜査に合流するのだった。
そのやり取りを見ていた加奈子が、瑞穂に19年前の事件が耕輔の事件であると話していると、瑞穂の携帯が鳴った。直哉からである。ミカがいなくなったと言う。直哉はミカについて本当のことを言った。なんと暴力を振るっていたのはミカの方だったのだ。内容を聞いた樋口は、「再婚相手の暴力から自分だけ逃げ出した母親なのに、ミカは、自分が母親を守りきれなかった、母が去ったのは自分のせいだ、と強迫観念を抱き、それが、アルコール依存から暴力へと進んでいる」のだと分析する。しかも「最悪な場合は、自殺など自分への暴力へと進む」と警告した。驚く瑞穂。
瑞穂は耕輔を誘って、ミカのマンションに急行した。屋上に上がる二人。ミカがフェンスの外にいる。瑞穂は「あなたは悪くない。あなたは母親を守ろうとした意識から、暴力を振るうのよ」と説得する。だが、ミカは「彼にはもう迷惑を掛けたくない。もう終わらせたい」と応じない。と、耕輔が言い放った。「だったら死ねよ。分かってもらおうなんて甘えるな」。しゃがみこむミカを耕輔は急いで保護し「誰だって何かを背負ってるんだ」と優しく言い聞かせるのだった。
本部に帰って瑞穂は耕輔にミカを助けてくれた礼を言いながら「西島さんが19年前に見た犯人の顔を描かせてください」と切り出した。無視する耕輔。だが食い下がる瑞穂。「西島さんもミカと同じはずです。あなたの顔が見たいんです」。耕輔は立ち止まり、振り返った。耕輔はとうとう瑞穂の真剣な思いに心を開いた。19年前の母に馬乗りになり振り返る男の顔を、苦しげに思い出す耕輔。素早く描き続ける瑞穂。似顔絵が出来上がった。
そのころ、樋口のマンションのドアチャイムが鳴った。チャイムを押しているのは、19年後のその似顔絵の男であった…。

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第11話 もう一つの顔に逢える

あらすじ

瑞穂(仲間由紀恵)に耕輔(オダギリジョー)は、19年前に母を殺した犯人の顔を描かせた。それをじっと見つめる耕輔。まさにその時刻、なんとその顔の男が樋口(余貴美子)のマンションを訪ねていた。男は、片岡菊馬(梅垣義明)である。片岡は、樋口の昔の患者であったが、樋口はすぐに思い出した。一見堅気の風貌であるが、目には犯罪者特有の不安定さがある。樋口は冷静に招き入れて切り出した。
「ネックレスを送り付けたのはあなたね」
片岡はそれを認め、「捌かないと昔のことをバラすと脅された。警察に行っても信じてもらえないから、先生に送った」と説明する。そして、驚愕の告白を付け加えた。
「19年前の強殺は、私がやった」。耕輔の事件を認めたのだ。
瑞穂は耕輔を問い質した。「この人を見つけたらどうするのですか」。耕輔は無表情に「殺す」と一言答える。「もう時効だから、殺しても何にもならないだろう」と冗談めかしてすぐに繕うが、瑞穂は「この人に会うことは、自分自身に会うことです。この人を見つけないと西島さんの事件も終わらない。この人を見つけても、復讐なんかしないで」と諭す。耕輔は、真意を見透かされないように笑いながらも、若き片岡の似顔絵を手にして立ち上がった。
樋口は片岡の左手の義手に気が付いた。裁断機の事故だと言う。片岡は19年前の事件について語り始めた。「薬物中毒で、薬を買う金欲しさであの家に入り女を殺した。その時落ちたオルゴールから『アヴェ・マリア』が流れていた」。樋口は緊張しながら聞き入った。
瑞穂は廊下に出る耕輔を追い、「約束ですよ」など食い下がった。耕輔は「くどいなあ、あの女の子が回復したら19年前の犯人かどうか分かるだろう。考えすぎだ」と平静を装いながら答える。そのやり取りを内村(海東健)が物陰から聞いていた。「19年前の事件?」。内村のブンヤの鼻が動いた。
翌朝、樋口は鶴田(益岡徹)と佐藤(河原さぶ)を呼んで、昨晩の片岡の話をした。片岡は耕輔の事件の前の大学病院時代の患者であり、当時は義手ではなかったが、その後の事故で手を失っていたならば、耕輔の事件とアヤナ(望月瑛蘭)の事件の犯人が義手であり、手口が同じならば、片岡が同一犯であっても矛盾はない。特に、「オルゴールの件」は犯人しか知り得ず、まず、耕輔の事件の犯人に間違いなかろうと結論された。ただ、なぜ、時効の事件を告白し、アヤナの事件を否定するのか、また、なぜそれを告白しに樋口のもとへ訪ねて来たのか、疑問は残った。さらに樋口は、耕輔にこの話をしないよう、二人に念を押した。
似顔絵の男を探ろうと、耕輔は、尾崎(品川祐)に協力させ、データベースから免許証の顔写真を検索。似顔と合致した「片岡」を突き止めた。
そのころ、刑事室では、鶴田と佐藤が、片岡を洗っていた。「アヤナの事件のアリバイはない」などと話しているのを加奈子(京野ことみ)は聞いてしまった。
翌朝、東都日報に「19年前の強殺被害者は暴力刑事」という記事が載っている。耕輔のことである。耕輔は記者室に乗り込み、内村の胸倉を掴んで殴りつけようとしている。騒ぎに気付いて入ってきた瑞穂は、耕輔より先に内村に平手を食らわせた。「真実なら何を書いてもいい訳ではありません」。事勿れの今村(近藤芳正)も「警察官の暴力だ」と騒ぐ内村に対し「手が滑ったのでしょう。記者であるあなたの」と援護する。ほうほうの体で内村も去り、騒ぎが収まると、加奈子が「これで片岡が捕まれば今の事件も解決しますね」と耕輔に言う。「片岡!?」。驚いて耕輔が問い返すと「片岡って、樋口先生のとこにネックレスを送ってきた男で、西島さんの事件の犯人ですよね」。聞くが早いか、耕輔は樋口の部屋へ飛び込んだ。
「なぜネックレスを送りつけたのが片岡と分かってて隠したんだ?だから信じられないんだ。もう、片岡のことは調べはついてる」
耕輔は樋口が止めるのも聞かず、本部を飛び出した。鶴田は、耕輔の行動を案じ、片岡の家へ急行した。
鶴田や加奈子が、片岡の自宅兼印刷工場へ着くと、家から煙が出ている。踏み込むと、工場の奥の部屋で片岡が血を出して息絶えていた。なんと左手は義手ではない。そばに新聞紙が燻り、水がかけてあった。その背後の暗闇に男がいる。虚ろな目をした耕輔であった。そして、その手には血糊も生々しい包丁が握られていた。「西島を確保!」。鶴田の指令が飛んだ。
本間部長(升毅)らが耕輔を尋問する。耕輔は「母を殺したか確認に行った。行くと火が付けられていた。消して見回すと片岡が死んでいた」と説明する。「恨み晴らしたんだろう」と亀田(矢島健一)が突っ込む。「なら、刺殺なんかしない」など挑戦的な態度を崩そうとしない耕輔。鶴田は「部下でいたいなら、勝手なマネするな」と諌めるのだった。
耕輔が取調室を出ると、瑞穂が待っていた。「西島さんが殺していないと信じています」。だが耕輔は「俺が殺した。誰かに先を越されただけだ」と本心を話す。瑞穂は「殺したかったのは自分自身です。母親を守れなかった自分を憎んでいるんです」。耕輔は自分ですら気が付かなかった気持ちを言い当てられひるんだ。が、気を取り直すと、「俺の気持ちは誰にも分からない」と再び心を閉ざし去って行った。その時、瑞穂の電話が鳴った。「え、アヤナちゃんがしゃべった?」
瑞穂がアヤナの病室に着くと七尾(田中律子)や鶴田たちがいる。早速、アヤナから犯人の似顔を聞き出す。なんと、出来上がった似顔絵は片岡ではなかった。驚く一同。鶴田らは、似顔絵の男が盗品を片岡に渡したとすれば、片岡殺しもこの男の可能性が高まり、耕輔の嫌疑が晴れると考えた。そのころ耕輔は街を彷徨っていた。若い男たちとぶつかる。「何やってんだ」「やめろよ」の声。さらに街に流れる着メロの「アヴェ・マリア」…。耕輔の脳裏に一気に過去の記憶が蘇ってきた。
樋口は、なぜ片岡が偽の義手まで着けて19年前の事件を告白に来たのか、謎だった。瑞穂は「そう思わせる必要があったのでは」とトバ口を開く。「犯人は複数だったのでは?」と瑞穂。樋口は閃いた。「西島さんの記憶のすり替えかも…」
帰り支度をした瑞穂のところへ、耕輔が息せき切ってやって来た。「もう一度描いてくれ。もう一人いたんだ!」
「片岡とは目が合ったが、母を殺したのは片岡じゃない。もう一人いたんだ」。耕輔は、押し込んだ賊が「何やってんだ」など話し、箪笥から落ちたオルゴールが「ムーンリバー」を奏でているのを鮮明に思い出したのだ。瑞穂は耕輔が思い出すままに、斜め後ろからの母を殺した男の顔を描きあげた。それはアヤナの記憶の男の顔と酷似していた。
似顔絵から加西(松重豊)という男が浮かび上がった。少年院時代から片岡の仲間だった男で、耕輔の事件直後、フィリピンに渡り、最近帰国していることが明らかになった。海外逃亡の期間は、時効は停止する。片岡の時効は成立しているが加西の時効はしていないのだ。加西は、片岡に対し「同じように時効が成立していない」と脅して、すべての罪を片岡にかぶせ、二人まとめて時効を成立させようとしたのに違いなかった。
再び街を彷徨う耕輔の前に、8歳の自分の幻が出現した。その幻は「人殺し!」と耕輔を責める。耕輔は、片岡の家から拾いポケットに入れていたフィリピンクラブのマッチを取り出した。耕輔の顔は別人に変貌していた。
鶴田たちは、パブのマスターの証言から加西のアパートを探り出したが、一足先に耕輔が調べに来ていたことを知る。しかも拳銃を持ち出している。緊張する鶴田たちはアパートへ急いだ。
そのころ、耕輔は、加西の部屋に踏み込んでいた。加西は義手を着ける暇もなかった。「中村雅子の強殺、片岡をやったのもお前だろう」。その時、瑞穂が飛び込んで来た。取材で加西にたどり着いた内村から、加西の住処を聞き、耕輔を心配してやって来たのだ。「西島さん」と瑞穂が呼びかけるのを聞き、加西は、耕輔が19年前の事件の生き残りの子供だと気がついた。「今更、捕まってたまるか」と悪ぶる加西に耕輔は言い放った。「だれが逮捕すると言った?お前は生きる価値もない」。静かに銃を抜く耕輔。「殺したら負けです」。瑞穂が二人の間に割り込む。と、加西は瑞穂の首にナイフを突きつけ耕輔を牽制する。そこへ鶴田たちもやって来た。加西に隙が出来た瞬間、耕輔は義手を投げつけ加西にタックル。銃口を加西の口にねじ込んだ。「殺してやる」。耕輔は引き金を引いた。カチャ。弾を装てんしていなかったのだ。「だが、俺はお前を殺した」。耕輔はそう言って、加西を鶴田たちに渡した。
外に出る耕輔は一人になりたがったが、瑞穂は離れなかった。「自分を取り戻した時、私も空っぽでした。でも、一人じゃない。一人にしておけない」。叫ぶ瑞穂。その時、耕輔の前にあの幻が現れ、笑顔を見せたかと思うと消えていった。
瑞穂はやっと耕輔の似顔絵を耕輔に渡せたのだった。

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引用元:番組公式サイト

『顔』はどこで見れる?動画配信アプリ・サービスでの配信状況

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