ドラマ『アルジャーノンに花束を』の動画を全話無料で見れる配信アプリまとめ

  • 2024年7月30日
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2002年10月〜12月に放送されたドラマ『アルジャーノンに花束を』

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ドラマ『アルジャーノンに花束を』はどんな作品?

話数 全11話
放送年 2002年10月期
放送枠 フジテレビ系 火曜22時
原作 ダニエル・キイス「アルジャーノンに花束を」
脚本 岡田惠和
演出 新城毅彦
塚本連平
音楽 寺嶋民哉
主題歌 ジェニファー・ウォーンズ「ソング・オブ・バーナデット」
キャスト ユースケ・サンタマリア
菅野美穂
吉沢悠
中島知子
石橋けい
山口あゆみ
井澤健
岡本竜汰
益岡徹
田口浩正

塚本連平 岡田惠和 新城毅彦 ユースケ・サンタマリア 中島知子 井澤健 吉沢悠 山口あゆみ 岡本竜汰 田口浩正 益岡徹 石橋けい 菅野美穂

主人公

名前(演) 藤島ハル(ユースケ・サンタマリア)
職業など 桜井パン屋勤務

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以下に各話のあらすじや主要動画配信アプリ・サービスでの配信状況をチェックできるリンクを載せておくので、こちらもチェックしてみてください。

『アルジャーノンに花束を』の各話あらすじ

第1話 

あらすじ

早朝のパン屋『桜井パン』の工房。忙しく働く従業員にまじって、藤島ハル(ユースケ・サンタマリア)と田代ミキ(榎本加奈子)が簡単な作業をしていた。2人とも知的障害者だが、その表情は対照的だ。ハルはいつもニコニコと笑顔を絶やさないが、ミキはおどおどしてどこか自信なさげだ。一緒に働いているのは、原田文彦(井澤健)、柳元啓輔(岡本竜汰)、西岡義人(野口優樹)、成瀬和歌子(牛尾田恭代)といった面々。
ハルが焼き上がったパンを運ぼうとしているのを見て、柳元と西岡がニヤニヤしながら目配せした。「ハル、追加してくれ。指で計算しないと」「はい!」。ハルは手を離した。パンが床に落ちた途端、どっと笑いが起こった。みんなが笑っているのがうれしくて、ハルもつられて笑った。「さっさと拾えよ、バカ」。原田が不快そうに吐き捨てた。
そこへオーナーの桜井恭子(中島知子)が現れた。「どうしたの?」。誰も返事しなかったが、一目で事情をのみこんだ。ハルとミキが同僚たちからからかい半分にイジメられるのは日常茶飯事なのだ。「早く拾って」「はい!」。拾い始めたハルをミキが手伝って、そのまま売り場に向かおうとすると、和歌子がきつい調子で言った。「あんたとハルは店に出ちゃダメだって言われてるでしょ」。脅えたミキはせっかく拾ったパンを落とした。「なんで、こんなヤツと一緒に働かなきゃいけないのよ」。和歌子の叫びにミキは泣きだした。あわてて駆け寄ろうとしたハルは足をすべらせて、パン粉まみれ。「ハル、早く顔洗っておいで」「はい!」。こんな時でもハルは笑顔をくずさない。恭子は呆れながらも、つられて笑ってしまった。
ハルには店の前を掃除しながら、つい道の向こうをながめるクセがあった。「お母さん、来ない」。ハルは母親の佐智代(いしだあゆみ)に桜井パンへ連れられてきた日のことをよく覚えていた。「いじわるされても我慢するのよ。いい子にしていれば、迎えに来るからね」。ハルは母親の言葉を信じていた。たとえあの日から20年の歳月が流れてしまった今日でも。
ハルとミキは仕事が終わると、夕方から近くの小学校の知的障害者学級に通っている。集中しない生徒の多い中、ハルは真剣に授業に取り組んでいる。「ボクもミキちゃんも頭良くなって、売り場に出たり、パンを焼いたりできるようになりたい」。そしてハルは担任教師の遠矢エリナ(菅野美穂)のことが好きだった。「ボクはエリナ先生が大好きなので」「うれしいなぁ、告白されちゃったかな」。ミキも口数こそ少ないが、エリナに対してなら職場では見せることのない笑顔をのぞかせていた。
エリナは恋人の高岡晴彦(吉沢悠)に、仕事に対する無力感をもらした。「頭が良くなりたい前向きな生徒がいるのに、私は力になれているのかなって」。ハルのことだ。外食に出かけた2人はいつしか桜井パンの前に来ていた。「ここ、さっき話したハル君が働いてるの」「なんか、ちょっと妬けるなあ」。冗談めかした高岡の頭には明後日のエリナの誕生日のことしかなかった。プロポーズするつもりだったのだ。
なんとかハルの力になってやれる方法はないものか。エリナは友人の小林留美子(石橋けい)の働く大学の研究室を訪れた。エリナは建部教授(益岡徹)に引き合わされた。「人間の知能を増進させる研究をしています」。すでに動物実験では結果を出しているという。「あなたの生徒たちの知能を回復させられたら素晴らしいと思いませんか」。留美子が身を乗りだした。「ちかく最初の人体実験をするの。適性のある人、エリナ知らないかな?」。エリナは思わず気色ばんだ。「冗談じゃないわよ。私の生徒に実験台になれってこと!」。建部の説得もエリナの耳には入らなかった。「ごめんね。留美子の立場、悪くした?」。エリナは詫びたが、自分の生徒をそんな実験に参加させるなんて言語道断だった。
授業を終えたハルとミキは夜道を歩いていた。その日はエリナの誕生日だった。山の植物園にさしかかったハルは以前遠足で訪れた時の記憶をよみがえらせた。あの時、エリナは大好きな花を教えてくれた。突然ハルは走りだした。「ハル君?」。1人残されたミキはパニック状態で動けない。「こんにちは」。閉園した植物園に人の気配はない。ハルは柵を乗り越えた。
その頃、エリナは高岡とフレンチレストランで向かい合っていた。誕生日のお祝いにしては、高岡はいくぶん緊張気味。というのもポケットに婚約指輪を忍ばせていたからだ。「あのさ」。まさに高岡が切りだそうとした瞬間、エリナの携帯電話が鳴った。「えっ!」。ハルが警察に連行されたという。2人はレストランを飛びだした。
ハルは警察の廊下で身を小さくして座っていた。服はボロボロ、殴られたのか口には血がにじんでいる。それでも花を1本だけ、ギュッと握りしめている。エリナと高岡が到着すると同時に、部屋の中から恭子が出てくると、ハルの頬を勢いよくひっぱたいた。「なんで約束守らないのよ!」「ごめんなさい」。エリナは黙っていられなかった。「何があったのか、ちゃんと話を聞いたんですか」「あんたなんかに関係ないわよ!」。恭子はエリナに嫌悪感をむき出しにすると、ハルを連れて帰ってしまった。
エリナは警察官から事情を聞いて切なくなった。ハルは花がほしくて植物園に入って、見つけられた警備員と格闘になった。「説明してくれたら私も殴ったりしませんよ」。警備員もさすがに後味が悪そうだった。ハルが最後まで握っていたのは、遠足でエリナが大好きと言ったあの花だった。「ごめんなさい。出ていけなんて言わないで」。うなだれるハルに向かって、恭子は優しく微笑んだ。「ずっといていいのよ」。恭子の夢は女優になることだった。しかし父親を亡くしてパン屋を継ぐことになって、ハルとミキを守っていくことを決めた。「でも先生に惚れるなんてのは勘弁してよ」。恭子はハルがエリナに心引かれていくのが許せなかった。「こんなことをしたんだから学校はしばらく休みだよ」。ハルはうなだれてしまった。
翌日からハルとミキは登校しなくなった。エリナは2人の空席を見ているうちに決心した。ハルに建部教授の手術を受けさせたい。エリナは恭子に事情を打ち明けた。数日後、ハルはエリナに連れられて、建部教授の研究室を訪ねた。脳の手術を受けたマウスがいた。複雑な迷路をアッという間にゴールまでたどりついた。「すっごーい!」。ハルは歓声をあげた。マウスの名前はアルジャーノン。ハルはノートに記した。「きょう、ともだちがいっこできました。ともだちの名前は、アルジャーノン」と──。

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第2話 

あらすじ

建部教授(益岡 徹)の研究室でハル(ユースケ・サンタマリア)の検査が始まった。「ハル君、これは何に見える?」。研究員の徳永(田口浩正)がロールシャッハテストの絵をハルに示した。「黒いペンキをこぼした絵!」。徳永が絶句するとハルはうれしそうに拍手した。「すばらしい!」。
今度は留美子(石橋けい)がハルに一枚の絵を見せた。父、母、兄、妹の4人家族の絵。「この絵を見て、お話をつくってくれないかな」「ボクはパンをつくる人。お話をつくるのはミヤザワケンジのような人です」。もちろんハルは大真面目。2人のやりとりを見ていた徳永が苦笑した。
ハルのおかげで研究室が明るくなった。「みんなに愛されています。それに彼には向上心がある」。建部教授はエリナ(菅野美穂)に向かって満足そうにうなずいた。「手術には肉親の承諾書が必要になります」。ハル本人には無理だ。当然エリナの役目だった。 「おやすみなさい、エリナ先生」「うん、また明日」。ハルをアパートに送り届けたエリナは、営業を終えた桜井パンの売り場に目をやった。無人の店内でミキ(榎本加奈子)がうれしそうにショーケースをふいていた。「毎晩のようにやっているのよ」。恭子(中島知子)が哀れむようにつぶやいた。ミキが殺風景な工場より、明るい売り場に憧れるのは分かる。しかしその気持ちを察して、ミキを売り場に立たせたらパニックになった。ハルもパンを焼きたがったが、やはりお話にならない。「でも私は今のままでいいと思うんだ」。恭子は手術でハルの頭が良くなるなんて少しも信じていなかった。かたや手術に望みをかけるエリナは翌日、承諾書をもらうためにハルの母親、蓮見佐智代(いしだあゆみ)を自宅に訪ねた。「あの子のことは忘れたんです。ですからお任せします」。署名を書き終えた佐智代にエリナは思わず聞いた。「どうしてハル君と一緒に暮らしてあげないんですか?」。佐智代は微笑を浮かべて答えた。「私ね、あなたみたいな人が一番嫌い」。
ハルの知能が幼児のままだと医師から宣告された時、佐智代は運命だと思おうとした。けれど周囲の反応は厳しかった。酒におぼれた。夫はそんな妻と子供との暮らしが嫌になって、2人の前から姿を消した。「あの子を殺して私も死のうとしたわ」。そんな最中、佐智代は妊娠に気づいた。「怖かった。またハルみたいな子なんじゃないかって」。  佐智代の不安は杞憂だった。生まれてきた女の子は同じ年の子の中でなんでも一番早くできた。「母親同士の中で誇らしかったわ」。ところが自宅で誕生日会をしようとしたら、誰も来なかった。ハルがいたからだ。「この子さえいなければ」。佐智代はハルを桜井パンに預けた。以来一度も会っていない。親子の縁を切ったも同然だった。エリナが蓮見家の玄関を出ると「こんにちは」と声をかけられた。大学生に成長したハルの妹、冬美(山口あゆみ)だった。彼女は兄の存在を知らなかった。
エリナが桜井パンまで帰ってくると、恭子をはじめ従業員たちが大騒ぎしていた。ハルが大きな木の上にいる。今にも落ちそうなのに本人は笑っている。「私が行く」。柳元(岡本竜汰)と西岡(野口優樹)がはしごを持ってくると、エリナが上りだした。「それ何?ハル君」。ハルの隣りに腰を下ろしたエリナは、ハルが握りしめている紙に気づいた。「家族のお話です」。研究室の検査でもらった家族の絵だ。どうやら風で飛ばされたのを取ろうとして、木に上ってきたらしい。「ボクのおかあさんはとってもやさしいです」。佐智代に会ってきたばかりのエリナは胸を締めつけられた。ハルはエリナの亡くなった弟にどこか似ていた。「頑張ろうね、ハル君」「はい!」。ハルは元気いっぱいに返事した。
高岡(吉沢 悠)はせっかく買った指輪をエリナに渡しそびれていた。一緒に暮らしていてもエリナはいつも何かに気を取られていたからだ。「ハル君のことで忙しいんだろ」「うん」。高岡はいつしかハルに対して嫉妬にも似た感情を抱いている自分に気づいた。思い切って本人に会ってみることにした。「俺もハル、晴彦っていうんだ」「あなたもハル?すばらしい」。ハルの屈託ない笑顔を見ている内に高岡のわだかまりは消えた。「ただの子供だよな」。
ついにハルの手術日が決まった。「すばらしい!」。手放しで喜ぶハル。しかしエリナは怖さを感じていた。ハルから内緒で打ち明けられたミキも不安だった。もし失敗したらハルはどうなるのか?
いよいよ手術が始まった──。

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第3話 

あらすじ

 手術を終えたハル(ユースケ・サンタマリア)は病室で目覚めた。「無事終わったよ」「じゃ、ボクは頭が良くなっているのですね」。ハルは心配そうに見ているエリナ(菅野美穂)におかまいなく病室を飛び出した。ハルは研究室でくつろいでいた徳永(田口浩正)につめ寄った。「アルジャーノンと勝負です!」。ハルは勝つ気満々で天才ネズミのアルジャーノンとの迷路勝負に挑んだ。しかし結果は以前どおりにアルジャーノンの圧勝。ハルはまったく歯が立たない。「きっと徐々に成果は出てくるはずです」。建部教授(益岡徹)は手術の成功に自身を持っていた。しかし当のハルはすぐにも頭が良くなるものと確信していただけにショックは大きかった。「ボクはまだバカです」。ハルはうなだれた。「仕事休んで頭でも良くしてもらったのか?」。エリナに連れられて帰ってきたハルを桜井パンの同僚たちは軽い気持ちでからかった。「でもボクはバカです」。ふだんなら天真爛漫な笑顔が返ってくるはずなのに、ハルの表情は沈みこんだまま。恭子(中島知子)は心配になった。ハルはミキ(榎本加奈子)だけには本心を打ち明けた。「ごめんなさい。失敗でした。しょんぼりです」。
ハルは職場でも教室でもしょんぼりとして元気がない。研究室では繰り返しアルジャーノンと競争したが、結果は常にハルの負け。「そろそろ何らかの兆候が見えてもいい頃なんだが」。建部教授がため息をもらすと、ハルはがっくりと肩を落とした。「ボクはダメです。お母さんもお迎えに来ません」。
落胆するハルを送り届けたエリナが帰ろうとする恭子に呼び止められた。「あんた、自分が何したか、分かってんの? 明るいだけが取り得のアイツにさ、なんであんな哀しそうな顔させるのよ!」。恭子に責められてもエリナは一言も言い返せなかった。そんな2人の様子をたまたま工場の前を通りかかった高岡(吉沢悠)が息をひそめて見ていた。
「あなたが悪い人じゃないことは分かるけど」「そうじゃないんです。私には弟がいたの」。エリナには3歳違いの、ハルと同じ知的障害をもった弟がいた。エリナはハルのようにいつもニコニコしながら、彼女のあとをついてくる弟のことがうっとおしかった。母親に頼まれて2人で買物に出かけたある日、エリナは憧れの先輩に出会った。「弟のこと、見られたくなかった」。エリナが逃げ出すと、パニックになった弟はあとを追った。そこへ車が飛び込んだ。「私が殺したの」「もういいよ」。思いもかけない告白に今度は恭子が言葉を失った。ショックを受けた高岡はその場からそっと離れた。
「エリナ先生、どうしましたか?」。ハルが不思議そうに2人を見ていた。「あんたが元気ないからだよ」。恭子に言われたハルはパン粉を頭からかぶっておどけてみせた。ハルの気持ちが分かった恭子とエリナは大笑いした。「楽しい!すばらしい!」。騒ぎに気づいたミキがぽかんとした顔で見ていた。「ミキちゃんもおいで」。4人は粉まみれになってはしゃぎまわった。
アルジャーノンとの競争では依然として負け続け、職場と教室では失敗ばかり。それでもハルの表情に笑いがよみがえった。「ボクは笑った方がいいので」。ハルの気持ちを知ってしまったエリナと恭子は、そんな健気なハルを見ているのがつらい。高岡もハルのことが頭から離れなくなった。「お前さ、エリナ先生のこと、好きか?」「はい、大好きです」。高岡はエリナと結婚したい気持ちをハルに打ち明けた。「幸せにしたいんだ」。
「エリナ先生笑うとボクもうれしいです。ともだち」。ハルから握手を求められた高岡はやっと安心した。ハルがエリナを女性として見ているはずがない。気持ちに整理のついた高岡はエリナに告げた。
「エリナの弟の話、聞いちゃったんだ」。エリナは表情を強張らせたが、高岡はもうためらわなかった。「もう十分やったんじゃないか。結婚しよう」。エリナの目に涙があふれた。
その頃、ハルは休みを返上して研究室でアルジャーノンとの競争に挑んでいた。徳永と留美子(石橋けい)は信じられない思いで顔を見合わせた。「やった!」。ついにハルが勝ったのだ。知能は間違いなくアップしている。「すばらしい!」。3人は抱き合って喜びを分かちあった──。

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第4話 

あらすじ

「やった!」。徳永(田口浩正)と留美子(石橋けい)は小躍りした。ついにハル(ユースケ・サンタマリア)が迷路競争で天才ネズミ、アルジャーノンに勝ったのだ。何度やってもハルは負けない。ハルの知能が高まっているのは間違いない。「勝っちゃってごめんね」。心優しいハルはアルジャーノンに謝ったが、つぎの瞬間には喜びを爆発させた。「すばらしい!」。
ふだんは冷静な建部教授(益岡 徹)も興奮していた。「今はまだ初期段階ですが、これからどんどん高くなっていくはずです」。ただ一人エリナ(菅野美穂)だけは一抹の不安を感じていた。「なんかちょっと怖いな」。この先ハルはどうなっていくのか。そんな思いもハルの笑顔を目の当たりにすると消えた。「エリナ先生、キレイです」「そんなことも言えるようになっちゃうわけ」。エリナにもハルの変化が実感できた。
「冗談でしょ?」。エリナからハルの知能が高くなったことを知らされた恭子(中島知子)は笑いとばした。ところが翌日から恭子もハルの変化を信じないわけにはいかなくなった。「ハル、手で数えていいぞ」。同僚の柳元(岡本竜汰)がいつものようにからかうと、ハルは何気なく手にした荷物をきちんと置いた。昨日までならそのまま床に落としていたのに。学校の授業でもいつもたどたどしい朗読をスラスラとこなしてしまった。とはいえ職員室でエリナと2人きりになると、ハルは首をかしげた。「どうしてお母さん、来ないんですか。明日は来るかな」。エリナはなんとかしてハルの願いを叶えてやりたかった。
翌日、エリナは再び蓮見家を訪ねた。「会ってあげてもらえませんか」。ハルの変化を佐智代(いしだあゆみ)に説明した。「自分がいい子にしていれば、お母さんが迎えに来るって、ずっと信じてるんです」。エリナは必死に訴えたが、佐智代の考えは変わらなかった。「私はあの子を捨てたの。帰ってください!」。エリナは失意のまま蓮見家を後にした。
「ウチにいらしたんですか」。エリナは佐智代の娘、冬美(山口あゆみ)から声をかけられた。前回訪ねた時に顔を見られたらしい。「あなたが家にいらしてから母の様子がなんか変で」。時々ぼんやりしているという。「私は関係ないと思うわよ」。セールスを装ったエリナはさりげなく冬美に聞いた。「兄弟は?」「いません。一人っ子で甘やかされてます」。冬美はハルの存在を知らなかった。
エリナから手術の成功を知らされた高岡(吉沢 悠)はハルの気持ちを確かめたかった。エリナに結婚指輪を贈ったばかりだけに、彼女のことを好きだと言ったハルをどうしても一人の男として意識してしまうのだ。「お前、頭良くなったんだって?」「はい」。高岡はたまらずクギを刺した。「だからって恋をしてみたいなんて言うなよ」。
高岡はハルから恭子とミキ(榎本加奈子)を紹介された。「エリナ先生のお友達です」「はい、そうです」。高岡が戸惑っているとハルが思いがけないことを言いだした。「料理をするんです」。どうやら以前から料理を作ってみたかったらしい。高岡から連絡を受けたエリナも駆けつけて、みんながじっと見つめる中、ハルは「オムレツを作るんです」と胸を張った。ハルが慣れない手つきで包丁を使いはじめると、恭子は心配で見ていられない。かたやミキはただぼう然と見とれた。そしてエリナと高岡は顔を見合わせて微笑んだ。
「出来たあ!」。とうとうハルはオムレツを作り上げてしまった。「お母さんのオムレツです。とってもおいしいです。ボクは一番好きなんです」。幼き日に目にした記憶を必死によみがえらせたのだろう。「ハルがねえ、どれどれ」。まだ信じられない恭子がオムレツをつまんだ。エリナもミキも高岡も口に運んだ。「まずい」「最悪」。ミキは泣き出しそう。ハルも食べてみた。「まずいです」と吐きそう。それでもみんなは笑ってしまった。なにしろハルが自分一人きりでオムレツを作ってしまったのだから。
「明日は迎えに来てくれるかなあ」。母親が決して会いに来るはずがないことは恭子も知っていた。だからハルの気持ちをはぐらかせようとした。「さびしいなあ。ハルにはここにいてほしいもん。お母さん、迎えに来なくたっていいじゃん」。恭子にしつように言われたハルは頭をかきむしった。「ボクは─」。どうしても母親に会いたいのだ。誰もが黙りこんでしまった。
翌朝、工場にハルの姿が見えなかった。「寝坊?珍しいね、ミキ、ハル起こしてきて」。恭子に言われてミキはハルの部屋をのぞくがいない。「いないって、どういうこと?」。まさか一人で母親に会いに行ったのでは。現在の佐智代の家をハルが知るはずない。だとすればハルが佐智代と一緒に暮らしていた頃の家ではないか。当時の記憶をよみがえらせた可能性はある。エリナはタクシーに飛び乗った──。

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第5話 

あらすじ

ハル(ユースケ・サンタマリア)が母親の佐智代(いしだあゆみ)と暮らした生家は廃屋になっていた。「お母さんは迎えになんか来ないんだ!お母さんは僕を捨てたんだ!」。知能が増進したハルは冷酷な真実に気づいた。「僕はそんなことも分からなかったんだ」。エリナ(菅野美穂)は号泣するハルを強く抱きしめてやることしかできなかった。「ごめんね、ハル君」。手術の成功は本当にハルを幸せにするのだろうか。エリナの頬を伝う涙をハルは不思議そうに見た。「エリナ先生は悪くないです。泣かないでください」。エリナの携帯電話が鳴った。恭子(中島知子)からだ。「やっぱりそこにいたんだ」。恭子からハルの無事を聞かされたミキ(榎本加奈子)もようやく安心した。
エリナはハルに元気を出してもらおうと遊園地に誘った。いつしか2人とも声をあげて笑っていた。「苦手なんだよね」と巨大迷路に尻込みするエリナの手をとってハルがドンドン進んでいく。アッという間にゴールにたどり着いた。「すごい、ハル君」。ハルは照れたように微笑んだ。ホメられたことより、エリナの手の温かさがうれしかったのだ。
翌日からハルは工場で明るく働きだした。ところがこれまでできなかった作業を楽々とこなすハルを目の当たりにして、同僚たちの間にはシラッとした空気が流れた。柳元(岡本竜汰)と西岡(野口優樹)が目配せしてハルの足をひっかけた。粉まみれになったハルはもう笑わなかった。「顔洗ってきます」。陰湿なイジメだと気づいたからだ。
ハルは寝食を惜しんで読書に没頭するようになった。そのものすごい知識欲に比例するように、研究室のテストでは驚異的な勢いで知能が増進していた。「すばらしい!」。ハルの口癖が移ったように建部教授(益岡 徹)は興奮した。「僕、追い抜かれちゃうかも」。徳永(田口浩正)はむろん冗談のつもりだったが、建部教授は真顔で「だろうね」とうなずいた。とにかくハルの表情は輝いていた。「毎日が楽しいです。皆さん、本当にありがとう」。
エリナは部屋にハルを呼んで、高岡(吉沢 悠)と留美子(石橋けい)の4人でささやかなお祝いパーティーを開いた。料理ができてエリナと留美子がリビングをのぞくと、高岡がぶ然としている。「負けたよ、生まれて初めてやったヤツに」。なんとオセロゲームでハルが高岡に勝ってしまったのだ。4人で楽しく食事していると、突然ハルが泣き出した。「こんな楽しいこと、皆には普通かもしれないけど、僕には初めて。手術して本当に良かった」。帰りの夜道、ハルは留美子に打ち明けた。「なんか胸が痛いっていうか。病気とかの痛さじゃなくて」。留美子はさりげなく聞き返した。「ハル君はエリナ先生が好き?」「はい」。留美子には痛さの原因がつかめたような気がした。
留美子は建部教授に報告した。「知能の高さに感情がついていってないんじゃないでしょうか」。つまりエリナへの思いがハルの胸の痛みになって現れたのではないか。「このままいくと本人がものすごく傷つくかもしれません」。しかし建部教授の反応は冷やかだった。「我々は科学者だ。ハル君のデータは人類にとって貴重なデータなんだよ」。建部教授が研究室を出ていくと、徳永が留美子に同情するようにつぶやいた。「気持ち分かるよ、ハルはいいヤツだからなあ」。
桜井パンの同僚たちに対する苛立ちや悔しさも生まれてきた。つい、ふと気づいた疑問をそのまま口に出してしまう。「こうした方が効率いいですよ」「お前、俺に教えようっていうのかよ。ふざけんな!」。原田(井澤 健)はハルを殴った。「なにが友達だよ。あんた達はバカな僕を見て笑ってただけじゃないか!」。ハルは恭子にも怒りをぶつけた。「僕は皆をすぐに追い越してやるんだ、見返してやる!」。ハルは自分でも嫌なことを言っているのが分かったが、こらえきれなかった。
恭子はため息をついた。「前のハルの方が好きだったな」「恭子さんもずっと僕のことを笑ってたんだ」。恭子の手がハルの頬に飛んだ。「そう思うなら、ここから出ていきなさい」。恭子は通帳と印鑑をハルの前に置いた。「これまであなたがここで働いたお金です。もうあなたはウチの従業員じゃない。今までありがとう」。
ハルが部屋で身の回りの荷物をまとめていると、ミキが気づいた。「ごめんね、元気でね」「行っちゃやだよ、ミキ一人はやだっ!」。しかしハルは振り返ることなく歩きだした。「ハル君!」。ハルは失っていた時間を取り戻したかった。「新しい人生のスタートだ」。ハルは自分に言い聞かせるとバスに乗った。佐智代の自宅へ向かうために。

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第6話 

あらすじ

桜井パンを後にしたハル(ユースケ・サンタマリア)はバスに乗って佐智代(いしだあゆみ)の家に向かった。研究室の書類からひそかに住所を控えていたのだ。「お母さん!ハルだよ!僕は頭が良くなったんだ!」。ハルは手から血がにじむほどドアを叩いたが、佐智代は開けなかった。「今さらあなたに幸せを壊されたくないの。あなたを忘れてせいせいしてるのよ。帰りなさい」。ハルは背を向けたが、その目に涙はなく悔しそうにゆがんでいた。
「出ていったって、どういうことですか?」。エリナ(菅野美穂)は桜井パンの工場で恭子(中島知子)につめ寄っていた。店員たちは押し黙り、ミキ(榎本加奈子)は泣いている。「もうハルはここにいない方がいいんだよ。責任とりなさい。ハルを嫌なヤツにしないでよね」。
ハルが大学の職員住宅に引っ越して1カ月がすぎた。特別扱いで暮らしには何の不自由もない。ハルは自分が大学にとって宝物のような存在であることを認識していた。知能の上昇は依然として止まらず、大学の授業には早くも見切りをつけた。周囲の大学生たちがくだらない俗物に見えてきた。「ヒーローだね、ハル君は」。学会の発表を来週に控えた建部教授(益岡 徹)は満足そうにうなずいた。「皆さんには感謝してます。僕をあの悲惨な暮らしから救ってくれた」。徳永(田口浩正)や留美子(石橋けい)、そして建部教授すら追い越す日も遠くない。そんな確信がハルの全身にみなぎっていた。
エリナはハルと2人きりになると気になっていたことを聞いた。「もう私は必要ないのかな」「先生はいてくれないと困ります」。ハルは自分の知能の上昇に感情が追いついていないことに気づいていた。「人間が分からない。先生は僕にとって世界の窓口なんです」。
エリナは気晴らしのつもりで映画に誘ったが、理詰めで見るハルは楽しまなかった。レストランで食事していると留美子と高岡(吉沢 悠)がやって来た。高校の同級生だったエリナと留美子は当時の思い出を楽しそうに語った。「皆けっこうバカなことしてるのよ。だからこれからは学習では学べないことの先生になろうかな」。部屋に帰るとエリナは高岡に打ち明けた。ハルが自分に好意を持っているのはエリナも感じている。「でもそれは母親みたいなもの。もっといろんな世界に触れたらきっと好きな女性ができるはず。ハル君が知能と感情のバランスのとれた人間になれるまで見届けたいの」「うん」。高岡はエリナの気持ちを理解してくれた。
ハルは苦しんでいた。エリナに対する感情を理解はできても整理できなかったからだ。高岡はエリナの恋人なのにどうして銭湯に行ったり酒を飲んだりと自分に親切にしてくれるのか。自分は彼に憎悪をいだくこともあるというのに。「わからない」。ハルは高岡が一緒に選んでくれた洋服を腹立ちまぎれに投げ捨てた。
ミキは寂しかった。ハルに会いたかった。ミキは昼休みにこっそり工場を出るとバスの停留所に向かった。ハルのいる大学へ行きたいがバスに乗る勇気がない。「何やってんだよ」。障害者学級の仲間たちだ。皆が一緒ならバスに乗れる。「次だ」。ハルのいる大学前にバスが停まった。
研究室では建部教授がエリナを前にして頭を抱えていた。ハルが突然学会に出たくないと言い始めたのだ。「自分が実験材料みたいに好奇の目で見られるのが嫌なんだ」。エリナはハルの気持ちが理解できた。「まるで飼い犬に手をかまれた気分だよ」。建部教授の口から思わず本音がこぼれた。「何とか説得してもらえませんか」。もはやハルが素直に耳を傾けるのはエリナしかいない。
ハルがキャンパスを歩いていると前方に人だかりができていた。ミキと障害者学級の仲間たちだ。「ハルはどこだ!なんで学校に来ないんだ!」。ハルは恥ずかしくて柱の陰に隠れた。

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第7話 

あらすじ

「お前が話せたらなあ」。深夜の研究室でハル(ユースケ・サンタマリア)は天才ネズミのアルジャーノンに優しく語りかけた。今のハルが直面している苦しみを一番理解してくれるのは、同じ体験をしたアルジャーノンをおいて他にいない。「久しぶりにやってみるか」。ハルはアルジャーノンを迷路コースに入れた。ところがゲートを開いてもアルジャーノンは不安げにキョロキョロと見渡すばかりで動かない。「どうしたんだよ」。そこへ姿を現した徳永(田口浩正)にハルは頼みこんだ。「アルジャーノンと一緒に暮らしたいんです。お願いします」。
ハルは部屋に運びこんだ大量の文献と資料に没頭した。アルジャーノンに異変が起きている。その原因は何か。同じ手術を受けたハルの身の上にもやがてふりかかってくるはずだ。「どういうことなんだ」。ハルは得体の知れない恐怖を感じていた。
研究室は重苦しい空気に包まれていた。建部教授(益岡 徹)のねばり強い説得にも関わらず、ハルが学会への出席を拒んでいたからだ。ハルは好奇の視線にさらされるのが耐えられなかった。「数時間だけ我慢してくれないか」「ハル君が傷つくような扱いは絶対にしないわ」。留美子(石橋けい)が懇願してもハルの返事は変わらなかった。「お断りします」。 ついに建部教授が声を荒らげた。「感謝の気持ちはないのか!君には私に借りを返す義務があるはずだ」。ハルは辛らつな口調で言い返した。「あなたの手術で成功したなんて奇跡ですよ」。痛ましい思いでハルを見ていたエリナ(菅野美穂)は首をふった。「言いすぎだと思う」。しかしハルは「失礼します」と言うなり研究室を出ていった。エリナは追いかけた。「今までありがとうございました。もう僕のことはほっといてください」「嫌だよ、ハル君」。エリナは廊下に1人立ちつくした。
ハルが部屋で文献に読みふけっていると高岡(吉沢 悠)が酒を片手にやって来た。「いい部屋じゃん」「あ、どうぞ」。高岡を招き入れるなり、ハルは挑みかかるような口調で聞いた。「気になりますか?僕がエリナ先生を愛してるから」「お前最低だな」。高岡は怒りをこらえて答えた。「たしかに心配だった。でもお前がいい奴だとわかってそんな気持ちは消えた。あの頃のお前になら嫉妬したかもしれない。けど、今のお前のことをエリナは愛したりしないよ」。高岡は一気にまくしたてると帰っていった。
ハルは再び文献に向き直った。「そんな!」。ハルの表情が凍りついた。腰が抜けたように床に座りこんでしまった。アルジャーノンの異変の原因はこれなのか。ハルは真実を知ってしまった。
「あのハルがねえ」。エリナからハルの変化を聞かされた恭子(中島知子)は実感がわかないようだった。「ハル君もつらいと思うんです」。エリナが自信なさげにもらすと恭子は励ましてくれた。「しっかりしなさいよ」。恭子はエリナの苦しみも見抜いていた。
ハルに突然呼び出されてエリナは告白された。「僕はあなたを女性として愛しています」。エリナに高岡という恋人がいる以上、その感情がむくわれないこともハルは十分に理解していた。「ただあなたへの愛情が本物だと、それだけわかってもらいたかったんです」
「ありがとう、ハル君」。ハルは胸から小さな箱を取り出した。中からアルジャーノンが顔をのぞかせた。「それから一緒に行ってもらえますか、学会に」。ハルの穏やかな表情にエリナはうなずいた。
学会の発表が始まった。ハルとエリナは客席だ。壇上では巨大モニターを前にして建部教授が自信にみちた口調で説明しだした。「我々はこの実験にふさわしい人物に出会いました」。モニターには初めて研究室を訪れた時のハルの様子が映しだされた。ハルの言動に客席からどっと笑い声が起こった。「しかし我々の手術で彼はこの会場で最も知能の高い人物になりました。藤島ハル君です」。
ハルはエリナの額にそっとキスすると、盛大な拍手を浴びながら壇上へ向かった。マイクの前に立つとハルは一言一言、言葉を選ぶように語りだした。「すべて建部教授のおかげです」。客席から感嘆の声がもれると建部教授はうれしそうな笑顔をのぞかせた。「今は幸せです」。ところがハルの一言で客席がざわついた。

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第8話 

あらすじ

「私が何をしたって言うんだ!」。控室に戻った建部教授(益岡徹)は怒りをぶちまけた。「落ちついて下さい」。徳永(田口浩正)と留美子(石橋けい)は別人になってしまった恩師の姿に絶句した。
アルジャーノンを連れて学会の会場を抜けだしたハル(ユースケ・サンタマリア)はいつしか桜井パンの前に立っていた。「ハル君」。うれしそうなミキ(榎本加奈子)に導かれて店内に入ると、恭子(中島知子)をはじめかつての仕事仲間が顔をそろえていた。
「どうなの、あっちの暮らしは?」「はい。楽しくやってます」。恭子の変わらぬ対応ぶりがハルにはうれしかった。「失礼します」。ミキが紅茶を運んできた。「ハルのおかげだよ」。ハルを目標にして毎日すごく前向きになったという。「悪かったな、俺たち」「ごめんなさい」。戸惑いと後ろめたさでハルの様子を伺っていた店員たちが口々に謝った。「もういいんです」。人間は誰しも自分より劣っていたり、弱い立場の相手に優越感をいだく。「あなた達が特別に悪い人間だったわけじゃない」。ハルのその一言で全員が救われた気がした。
「でも、もう過去のことだもんなあ」。原田(井澤 健)が感に堪えないようにもらした。彼らはハルの運命を知らないのだ。和歌子(牛尾田恭代)はハルにプロポーズした。「だってお金持ちになりそうだもん。だめ?ハル」。思わず皆が吹きだした。ミキもつられて笑っていると、息せき切ってエリナ(菅野美穂)が飛びこんできた。「ハル君!」。ハルはとっさに目でエリナに口止めを合図した。「なんか顔色悪いよ、先生」。心配してくれた恭子には平静を装った。
桜井パンからの帰り道、ハルと2人きりになったエリナは胸の内をぶつけた。「私どうしたらいいの?」。ハルの知能はやがて元に戻る。いや、元以下になるかもしれない。「私のせいだね」「先生のせいじゃない」。ハルは恐怖感と同時に安堵も感じていた。「もうこれ以上嫌な人間にならずにすむから。これは運命なんです」。自分を責めて取り乱すエリナとは対照的に、ハルは冷静だった。
しかし部屋に戻ってアルジャーノンと向き合うと、ハルは震えながら泣いた。「怖いよ、戻りたくないよ」。そのまま寝入ってしまったハルはドアをノックする音で目覚めた。「こんにちは」。冬美(山口あゆみ)だった。「全部聞きました。お母さんから」。佐智代(いしだあゆみ)からハルを捨てたことも手術のこともすべて聞いたという。「ごめんなさい。私だけ何も知らず普通に暮らして」「出かけない?」。
ハルは冬美に洋服や本を買ってやった。冬美はすっかりハルに甘えた。周囲からはごく当たり前の仲の良い兄妹に見えたに違いない。「今日は楽しかった」「一緒に家に帰ろう」。冬美は当然のように言ったが、ハルは静かに首を横に振った。「今日が最初で最後だ」。ハルは外国へ旅立つと嘘をついた。「嫌だそんなの」「お母さんを許してあげてほしい」。それだけ言い残すとハルは冬美の前から立ち去った。

ハルが部屋に戻るとドアの前でエリナが待っていた。「すごくいい子だった」。ハルは冬美との1日だけのデートを伝えた。「お別れも言ったんだ。今の僕だけを覚えていてほしいから」。微笑を浮かべて聞いていたエリナが真顔になった。「あきらめないで。天才なら何とかする方法を見つけだして。お願いします、ハル君」。エリナはこみ上げてくる涙を必死にこらえて訴えた。
2人が無言で見つめあっていると、建部教授が戸惑い顔の徳永と留美子を従えて、部屋に入ってきた。「君が学会で言ったことは正しいかもしれない。しかしあのやり方はフェアじやない」。一気にまくしたてた建部教授はそこで口調を改めた。「お願いがあるんだ。私にはできないが君なら知能の退化を止める方法を見つけだせるかもしれない」。建部教授はハルに頭を下げた。「君の指示に従う。これは名誉や地位なんかじゃない。君の友人としてお願いする」。
徳永と留美子からも懇願されて、ハルの目がうるんだ。「はい。よろしくお願いします」。
翌日からハルの知能退化をくい止める研究がスタートした。時間がない。4人は研究室に泊まりこんで研究を続けた。建部教授はプライドを捨ててハルに教えを乞うた。エリナも高岡(吉沢 悠)に事情を説明して4人の仲間に加わった。「そういうことか」。徹夜明け、1人だけ寝ないでじっと数式を見つめていたハルは静かな微笑みを浮かべていた──。

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第9話 

あらすじ

「答えがわかったよ。知能の退化現象を止めることはできないのです」。夜明け前の研究室にハル(ユースケ・サンタマリア)の声が静かに響いた。建部教授(益岡 徹)もエリナ(菅野美穂)も、そして高岡(吉沢 悠)も徳永(田口浩正)も留美子(石橋けい)も言葉を失い、ただうなだれた。ところが当のハルは取り乱すこともなく微笑すら浮かべた。「今回の経緯を最後まで書きたいんです。受け取ってくれますよね」。ハルは1人ずつに礼を言うと、エリナに向き直った。「泣かないでくださいね。先生は泣き虫だから」。エリナはこらえたが、留美子はたまらず泣きだした。「疲れました。少し休みます」。ハルは1人部屋を出ていった。
「何なのそれ、ねえ!」。エリナからハルの身の上に起こっていることを告げられた恭子(中島知子)は、それだけ言うのがやっとだった。「なんでそんなことになるの!残酷すぎるよ!」「ごめんなさい、私のせいです」。ひたすら謝り続けるエリナを目の当たりにして、恭子はため息をもらした。「あんたは大丈夫なの?」。そこへミキ(榎本加奈子)が現れた。「先生、どうしたの?」。ハルを心の支えにして頑張っているミキに本当のことなど言えるわけなかった。
ハルは天才ネズミのアルジャーノンと部屋に閉じこもって、自分の体に起きつつある変化を論文にまとめる作業に専念していた。知能の退化現象はいったんスタートすれば加速される。ハルがハルでいられる時間はわずかだ。ハルの直面している恐怖を理解してくれるのは、一足先に同じ体験をしているアルジャーノンだけ。そのアルジャーノンがやがてエサを食べなくなった。ハルの目にはまるで自ら死を選んでいるように見えた。
「ごめんなさい、別れてください」。エリナから突然別れ話を切りだされた高岡は理由がわからずに戸惑った。「なんでだよ」「私は晴彦と幸せになる資格はないの」。ハルを救えないのに自分だけ幸せにはなれない。「俺との暮らしは何だったんだよ。ふざけんなよ!」。しかしエリナは「ごめんなさい」を繰り返すばかりだった。
「始まったみたいだ」。大学の食堂でエリナと食事をとっていたハルがぽつりともらした。前日に自分で書いた論文を理解するのに時間がかかるようになった。記憶力がにぶってきたらしい。エリナが表情を変えたことに気づいたハルはさりげなく話題を変えた。「エリナ先生はどんな子供だったんですか?」。迫りくる現実をしばしの間だけでも忘れられるように、エリナは自分の少女時代を楽しそうに語った。「外で遊んでばっかりで男の子みたいだったんだよ。顔はお父さん似だったみたい。あっ、ごめん」。ハルの父親は佐智代(いしだあゆみ)とハルの生活に耐えきれず、2人を捨てて家を出ていった。だからハルには父親の記憶がほとんどなかった。たった一つだけ、縁側で髪の毛を切ってもらっていたことを覚えている。「きっと僕との暮らしが嫌でいなくなったんだ」。エリナはハルにたずねた。「会ってみたい?」「うん」。ハルは戸惑いながらもうなずいた。エリナは留美子にも手伝ってもらい、ハルの父親の所在を調べはじめた。
「私はもうお母さんを責めたりしないよ」。冬美(山口あゆみ)はハルと会ったことを佐智代に打ち明けた。「会ったの?」「うん、優しかった。でもね、遠くに行っちゃうから、もう会えないって」。母と妹はハルの身の上に起きている異変を知らされていなかった。
ハルの父親の消息がつかめた。名前は鹿島夏男(山本 圭)、理髪店を自営している。ハルとエリナは夏男の暮らす街へ向かった。
「こんなに遠くまで来たの、初めてなんだ」。ハルはバスの窓の外に広がる風景に見入った。店が見つかった。「切ってもらおうかな」「私、そこで待っているから」。ハルは一瞬ためらったが、理髪店のドアを思い切って押した。客は誰もいない。時間が止まったかのような店内。「あ、いらっしゃい」。奥から男が出てきた。ハルの父親、夏男だった──。

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第10話 

あらすじ

ハル(ユースケ・サンタマリア)は論文を完成させた。これで手術によってハルの知能に何が起こったかわかる。「役に立ちますよね」「もちろんだ」。ハルは建部教授(益岡 徹)に論文を手渡した。「すごいね」。徳永(田口浩正)と留美子(石橋けい)はうなずきあったが、ハルのつぶやきに打ちのめされた。「自分で書いたことが半分も理解できないんです」。ハルの知能低下はそこまで進んでいたのだ。
授業を終えたエリナが桜井パンの前を通りかかると、男の泣き声が聞こえてきた。「ハル君?」。素手で地面の土を掘るハルのそばにはアルジャーノンのなきがらがあった。「アルジャーノンが死んだ。友達だったのに」。エリナは悲しみより恐怖を感じた。知能低下の果てに同じ運命がハルにも待っているのではないか。
ハルは高岡(吉沢 悠)からエリナと別れたことを聞かされた。ハルは自分が原因であると察した。「エリナ先生を幸せにしてあげて」「これは俺とエリナの問題なんだ」。しかし2人は以前のように言い争うことはなかった。「お前、なんか頭柔らかくなったな」「知能が低下したからかな」。ハルの口からはそんなジョークも飛び出した。その夜、ハルは経過報告のリポートにこう記した。誰かといると気持ちがきれいになっていく気がする、と。
ハルは久しぶりに障害者学級に顔を出した。「ハル、ズル休みばかりしやがって」。仲間たちは大喜び。ミキ(榎本加奈子)もうれしそうだ。皆と楽しそうに遊んでいるハルを見ていると、エリナの脳裏にはこれまでのさまざまなシーンがよみがえってきた。ハルはエリナに言ってくれた。手術を受けて本当に良かったと。何かを知ることは素晴らしい。それを経験できたのだから。「僕の大好きなエリナ先生でいてください」。エリナは必死に涙をこらえて笑顔でうなずいた。
「そう、ハルらしいね」。エリナは恭子(中島知子)にハルの近況を、知能低下のことも包み隠さずに伝えた。「ちょっと、ここ頼んでいい?」。恭子はエリナに店番を頼むと飛びだした。向かったのはハルの暮らす大学。「失礼します」。ちょうどハルは研究室で知能検査を受けていた。「ちょっと話せないかな?」。恭子はハルを引っ張りだした。「戻っておいでよ、またうちで働けばいいじゃん」「ありがとう」。ハルは何度も何度もうなずいた。
ハルは桜井パンに復帰して驚いた。ミキが売り場で頑張っていた。以前はバカにしていた和歌子(牛尾田恭代)や知子(田中景花)がちゃんとサポートしている。「すごいね、ミキちゃん」「はい、すばらしい」。ハルの暮らしていた部屋はそのままだった。「あんたが戻ってくるって思ってたわけじゃないわよ」。さりげない言い方に恭子なりの愛情がこもっていた。
1人きりになるとハルは思い出にふけった。窓から外を見ていると、気持ちが押さえきれなくなった。「お母さんに会ってきます」。ちょうど店にやって来たエリナにそう言い残すと、ハルは飛びだしていった。

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第11話 

あらすじ

 ハル(ユースケ・サンタマリア)の知能低下がついに止まった。ただし手術前よりも低い水準で。「運動能力や言語障害には至らなかったようだ」。建部教授(益岡 徹)の言葉にエリナ(菅野美穂)や徳永(田口浩正)、留美子(石橋けい)が沈痛な表情をのぞかせると、ハルがおどけて見せた。「こら、ハル君!」。ハルの周囲にはしぜんと笑い声がおきる。手術前と変わらずに。
ハルはエリナに連れられて桜井パンに帰ってきた。「お帰り、ハル」。恭子(中島知子)やミキ(榎本加奈子)はもちろん、従業員たちも全員笑顔で出迎えてくれた。恭子はエリナと2人きりになると、高岡(吉沢 悠)のことを心配してくれた。「自分を犠牲にして誰かのためなんて思い上がりだよ。ハルに失礼だよ。それにあんな格好いい男、もったいないよ」。冗談めかした恭子の言葉にエリナは少し気持ちが楽になった。
ハルは再びパン工場で働きはじめた。早速以前のように失敗の連続。「また、これが始まるのか」。しかしもう誰もからかったり、いじめたりしなかった。ハルがそこにいるだけで穏やかな空気が生まれた。「どうしてハル君は頭よかったのにバカになっちゃったんですか?」。ミキにはハルの変化が理解できなかったが、2人は仲良く障害者学級に通い始めた。「こんにちは」「はい、じゃ授業を始めます」。ハルにもエリナにも以前と変わらぬ日常が戻ってきた。
高岡がハルを訪ねてやって来た。「ハル、わかんなくてもいいから聞いてくれ」。呆気にとられるハルにおかまいなく高岡は一方的にしゃべった。「俺、やっぱりエリナが好きだ。もう一度、あいつにプロポーズしてみる。いいよな、ハル」。涙ぐむ高岡を不思議そうに見ていたハルはつぶやいた。「エリナ先生が笑うとボクもうれしいです」。2人のやりとりを物陰からうかがっていたエリナはそっとその場を離れた。
エリナは建部教授からハルが最後までつけていた経過報告のリポートを手渡された。「読むのは辛いかもしれない。でもこの中にはあなたへのメッセージがたくさんつまっています」。エリナは公園のベンチでリポートを読んだ。ハルは自分の運命を恨んでいなかった。むしろ手術によって新しい世界を知ったことを感謝していた。そして最後まで周囲の人々の幸せを願っていた。とりわけエリナの幸せを。「ハル君、ありがとう」。エリナはこらえきれずに泣いた。
エリナは佐智代(いしだあゆみ)と出会った。「ハルは元気でやってるんでしょうか」「ええ」。ハルが外国へ行ったと信じているのだ。「私ずっとおびえていたの。なんでひどい目にあわないんだろうって」。エリナはハルが一度たりとも佐智代を憎んだりしなかったことを知っている。もう嘘はつき通せなかった。「ハル君は今─」。エリナはすべてを告白した・・・。

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引用元:番組公式サイト

『アルジャーノンに花束を』はどこで見れる?動画配信アプリ・サービスでの配信状況

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月額990円(税込)
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ドラマ『アルジャーノンに花束を』の再放送に関する調査

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