村人Ａの奮闘

主人公の村人Aは村長の孫娘を無事に村まで送り届けなくてはいけない。

だが洞窟内は魔物の巣窟だった。

村人Aは非力。

スライム一匹だろうと遭遇したら即ゲームオーバー！

という、言わばステルス・パズル・アクションだ。

ステージ制になっていて気軽に楽しめるが、モンスターの動くパターンや、ダンジョンの配置、トラップを把握して回避していく必要があり、なかなか難易度は高い。

死んでもスタミナが必要だったりすることはなく、コンティニューは無限にできるので安心だ。

一切戦うことのできない村人の冒険。

誰かを倒すのではなく、守るための冒険。

なんて優しい物語だろう。

このゲームは、ファミコン風のRPGではあるがパズルアクションだ。

見た目はレトロのRPG風だが…（ややこしい言い方だな）。

実際プレイした感覚は、HAL研究所「エッガーランド」「アドベンチャーオブロロ」に通ずるものがある。

序盤から知恵を使わないとクリアできないのでくじけないでプレイしてほしい。

ステージとステージの間にある娘と村人のトークや、ちょっとノスタルジーでメロディアスなBGMもRPGっぽくて素敵だ。

バッドエンドのバリエーションも豊富なので死ぬのだってそんなにいやじゃない。

少女の手をとり守る姿は、まるでPS2の名作ICOみたいじゃないか。

戦わない冒険の果てに、少年…いや村人と少女は何を見るのか？

プレイヤーが1歩動くと、マモノも1歩動く。

プレイヤーが動かないかぎりは、マモノも動かない。

よって、移動パターンを読みながら、障害物や地形を考えてうまく誘導していくのがポイントだ。

あと、個人的にはコントローラーの位置はデフォルトではなく、やはりファミコンスタイルの左に十字キーがある方がやりやすいと感じた。

エリア2以降は、ワープできる魔法陣など、ギミックが登場。

合間に挿入されるストーリーもあいなって、このボーイ・ミーツ・ガールなエスケープパズルアクションは、なかなか退屈させない仕上がりになっているぜ。

最後に苦言を呈すとすれば、村人Aの性格がナヨナヨしてて、まるで碇シンジ君みたいじゃないか。

もしかして、この冒険の果てに彼の成長も垣間見ることができるのだろうか？

村人よ、勇者になれなくていい。戦わなくていい。だがその小さな手を守るんだ。

それじゃ最後に…。

やっちゃおう！